オンライン発表する韮山高チーム(配信画面キャプチャ)

全国の鉄道を愛する中高生が研究成果を競う、10回目の「全国高校生地方鉄道交流会」が2021年11月23日、山梨県都留市の都留文科大学で開かれ、参加7校9チームが開催地の富士山ろくを走る富士急行の利用促進策や地域振興振興策にアイディアを競った。最優秀賞には、都留市駅の交通拠点化を提案した、静岡県立韮山高等学校のKITe(チーム名)が選ばれた。

地方鉄道交流会は、いわば「鉄道が好きな中高生のインターハイ」。野球には甲子園、一般スポーツにはインターハイ、文系クラブでも合唱の全国コンクールなど成果発表の場があるが、鉄研(鉄道研究会)にはそうした機会がない。

こうした状況に風穴を開けようと、学校関係者が一般社団法人の全国高校生地方鉄道交流会を立ち上げ、2012年からコンペ形式の交流会を開催。10回目の今回、コロナの影響で例年の夏休みから大幅にずれ込んだものの、2年ぶりの実開催。テーマは「SDGsを切り口にコロナ禍に負けない活性化施策とは?!」で、一部の学校はオンライン参加した。

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韮山高校は、富士急の駅別利用データから利用促進策を提案した。都留市内には富士急8駅があるが、利用客が最も多いのは都留文科大学前駅。学生の多くが電車通学するからで、市の玄関口の都留市駅よりも多い。都留市では地方都市の通例として、地域住民の多くがマイカーで移動する。

そこで韮山高チームが発想したのが、都留市駅の交通拠点化。駅から都留市民病院などへのアクセスバスを定時運行するほか、タクシーを公共交通化する「予約型乗合タクシー」などで、鉄道の利便性を向上させる道筋を立てた。

韮山高の副賞は、富士急の「ヘッドマークデザイン権」。2位は東京都の渋谷教育学園渋谷中学高等学校 鉄道研究部、3位は同じく東京都の芝学園芝中学校芝高等学校 交通研究部Sチームだった。

記事:上里夏生