※2022年8月撮影

トップ画像は、JR四国高徳線阿波大宮駅。瓦屋根のコンパクトな木造駅舎です。

1981年(昭和56年)1月、大雪の阿波大宮駅の写真がありました。管理人さんの許可をいただいてリンクしています。

阿波大宮駅で高徳線は阿波の国(徳島県)に入りました。今回の撮影旅は、8月4日に伊予の国(愛媛県)予讃線の駅からスタート。6日に予土線で土佐(高知県)、7日には土讃線の讃岐(香川県)に駒を進めました。そして8月10日、高徳線で四国最後の徳島県に入り木造駅舎の撮影は、7日目です。

この香川県と徳島県の間が難所の大坂峠です。

この讃岐から讃岐山脈を越えて阿波に入る古来の官道は、現在ハイキングコースになっています。写真は阿波大宮駅前に板野町が立てた案内看板。

※2022年8月撮影

高徳線が、1935年(昭和10年)大坂山トンネル(989m)などのトンネルによって徳島県板野郡板野町に通じたことで難所大坂峠は、鉄道によって克服されました。しかし急勾配が続くこの区間、蒸気機関車時代に運転士さんたちは、さぞかし苦労されたコトと思われます。

この難所に自動車通行のできる国道22号線が完成したのは鉄道よりも早い大正時代でした。しかし1964年(昭和39年)国道11号線が山間部を避けて平坦な海沿いに鳴門に通じたことで急坂・急カーブの続く国道22号線は、通行量が激減。香川県・徳島県道1号線になりました。

今回筆者は、国道11号線から県道1号線に入って阿波大宮駅に向かいました。筆者は驚きました。県道は幅が狭く、急坂と急カーブが延々連続する凄まじい道でした。

しかし、ところどころで素晴らしい眺望が開けました。讃岐相生駅跨線橋から見た播磨灘と通念島が見えます。黄色い矢印が讃岐相生駅。高低差は200m以上有りそうです。

※2022年8月撮影

上の写真を撮った場所。ガードレールの下は断崖絶壁。左の海上に通念島が浮かんでいます。

※2022年8月撮影

県道1号線はまだ大坂峠の途中ですが、遠くに見えた高徳線は、既に大坂山トンネルを抜けて板野町に到達しています。線路が黄色い矢印の辺りです。

※2022年8月撮影

この写真を撮った場所も筆者が情緒不安定になりそうな高所、ガードレールの下は崖です。こんな箇所が延々と続くのです。

※2022年8月撮影

讃岐相生駅から、阿波大宮駅まで約13kmほどでしたが、45分かかりました。単純に割り算しても時速は、17.3km/hです。ブラインド・カーブが多く徐行したとは言え、如何に断崖絶壁とキツいカーブが連続したかお分かりいただけると思います。個人的には今回の四国撮影ツアーで、最も運転がシンドイ(恐ろしい)区間でした。

高徳線に乗れば5.6km、わずか7分ほどです。とは言え、この駅間5.6kmは高徳線で最長です。

阿波大宮駅に着いた時は、心底ホッとしました。

※2022年8月撮影

駅前は讃岐街道(徳島県道164号線)。交通量は極めて少なく、周辺は蝉の声しか聞こえません。

※2022年8月撮影

駅出入口。建物財産標は見つけられませんでした。

※2022年8月撮影

待合室には木製ベンチが2脚。

※2022年8月撮影

無人駅です。窓口に運行情報等表示端末が置かれています。

※2022年8月撮影

窓側の木製ベンチ。床はキレイに掃除されています。山間部の夏なのに昆虫などもいません。

※2022年8月撮影

次回に続きます。

(写真・文/住田至朗)

※駅構内などはJR四国さんの許可をいただいて撮影しています。

※駅などについては『JR全線全駅』(弘済出版社/1997)、『週刊朝日百科 JR全駅・全車両基地01-60』(朝日新聞出版/2012-2013)、『山陽・四国920駅』宮脇俊三・原田勝正編(小学館/1993)、『停車場変遷大事典 国鉄 JR編1-2』(JTBパブリッシング/1998)他を参照しています。

※タイトルは『木造駅舎』ですが、厳密に「構造として木造建築」の駅舎ではなく、筆者が気に入った駅舎を恣意的に選んでいます。明らかに木造建築と異なる場合でも、煩雑を避けるためタイトルは【木造駅舎コレクション】で進行します。悪しからずご了承ください。

※鉄道撮影は鉄道会社と利用者・関係者等のご厚意で撮らせていただいています。