川崎重工と近畿車輛で製造され、2016年末から大阪環状線で走り始めた323系。

このくるまには、鉄道総合技術研究所(鉄道総研)がJR西日本と三菱電機の協力を得て開発した新空転制御システムが積まれている。

鉄道車両の車輪は、雨天や枯れ葉などでレールの表面が濡れると、ブレーキ時などに空転(スリップ)が発生する。

最近の台車は、空転が始まるとモーターの回転速度が大きくなるのを検知し、スリップを認識する。

鉄道総研は、この研究過程で「進行方向の前方の車輪が、後方よりも先に空転を始める」「空転中の車軸につながるモーターは、負荷の低下で電流値が減少する」などの成果を得た。

そこで、前方車軸が空転し始めた初期段階でスリップを検知し、前後車軸の電流値差を用いた検知方法で空転の兆候をより早く把握できる新空転制御システムを開発。

この新システムで、従来車にくらべて空転時の平均加速度が5%向上、空転回復時の車体前後振動加速度が40%以上減少し乗り心地を向上させた。