北海道の一時代を築き上げた気動車特急 キハ183系

2020.08.29

キハ183系は北海道専用特急車両として1979年に試作車両が完成。1981年10月1日から量産車の使用が開始されました。一時は道内のディーゼル特急のほとんどにキハ183系が投入されていましたが、今はほんのわずかが残るだけ。長きに渡り北海道各地を駆け抜けたキハ183系を紹介します。

網走に向かって出発する特急オホーツク(1982年 札幌駅)

キハ82系に代わる北海道専用車両

北海道内の特急列車は1961年10月1日以来、キハ82系気動車が使用されていました。キハ183系は北海道専用車両として製造され、1980年2月10日に試作車(900番台)が投入。翌年10月1日の石勝線開通とともに量産車(0番台)が運行を開始しました。

着雪防止のため直線で構成されたスラントノーズ

キハ183系は直線で構成されたエッジの効いた「スラントノーズ」というデザインが特徴的です。これまで本州で使用された車両が転換されることが多かった北海道において、専用車両の登場は画期的であり、多くの鉄道ファンに歓迎されました。段階的にキハ82系からキハ183系に転換が図られ、おおぞらを始め、北斗・北海(札幌~函館)、おおとり(函館~網走)、オホーツク(札幌~網走)など、道内各路線に投入されました。食堂車は廃止され、初期の頃はビュッフェや売店が設置されています。

1985年6月1日に石勝線を走る「おおぞら」のスピードアップが図られた

1985年3月ダイヤ改正の編成短縮に伴い不足する先頭車を補うため、電源装置付きの中間車キハ184形が先頭車に改造されます。運転台は後位に新設され、後位側の室内電源室や窓配置は残されました。

スラントノーズから貫通型の前頭部構造に変更

1986年に初期量産車に改良を加えられた車両が投入されます。高運転台非貫通構造から増結・切離しが臨機応変に行える貫通型の前頭部構造に変更。グリーン車は客室の床を通常より高い位置においたハイデッカー構造を採用。客室窓は眺望を重視し、上部を曲面とした大型ガラスとなるなど大幅にイメージが変わりました。

キハ183系 5200番台 ノースレインボーエクスプレス

1988年~1992年にかけて新造としては最後の車両が投入されます。キハ183系は何度も改良や改造が行われたり、リゾート列車やお座敷列車、時には寝台車を連結して夜行列車になるなど、長きに渡り幅広い用途で使用されてきましたが、2020年8月現在、定期運行では「特急オホーツク(札幌~網走)」と「特急大雪(旭川~網走)」のみとなりました。老朽化が著しく完全に姿を消すのは時間の問題と言えるでしょう。

クラウドファンディングでキハ183を保存

石勝線を走る特急おおぞら(1984年 新夕張駅)

キハ183系は1979年から1992年まで製造されましたが、ほとんどが解体されたり海外に輸出され、保存する予定の車両は一台もない状況でした。貴重な車両を保存すべく、北海道鉄道観光資源研究会(札幌市)が2018年からクラウドファンディングのプロジェクトを開始(同会はかつて存在した鉄道や関連施設などを再び磨いて光をあてる取り組みをし、その地域の活性化に寄与することを目的として2014年に設立されました)。

道の駅あびらD51ステーションに保存

クラウドファンディングは第1目標の610万円を達成して1両保存展示が確定。約900人が支援し、第2目標の1,100万円を上回る1,300万円以上が集まり、2両(キハ183-214・キハ183-220)のスラントノーズ先頭車を保存することに成功しました。展示・保管場所は日本最後の国鉄SLが現役引退した追分機関区があり、特急おおぞらが走っていた安平町(旧追分町・旧早来町)に決定。キハ183-214は2019年4月開業の「道の駅あびらD51ステーション」にD51機関車と共に展示。キハ183-220 は安平町追分鉄道資料館(旧追分機関区)に保存することになりました。

183系の乗り心地を体感

現在、道の駅あびらD51ステーションには、朱色とクリーム色の国鉄色に塗り替えられ、特急おおぞらのヘッドマークを掲げたキハ183を展示。引退から数年が過ぎているにもかかわらず、車両からはディーゼル車特有の匂い漂っています。客室も公開されていますので、シートに座って当時に思いを巡らせてはいかがでしょうか。

文/写真:吉田匡和

※……2020年8月30日11時55分、ノースレインボーエクスプレスに関する記述を修正いたしました。(鉄道チャンネル編集部)
※……2020年8月31日10時20分、北海道鉄道観光資源研究会に関する説明を変更、追記いたしました。(同)


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