トヨタ、JR東日本、日立の3社が共同で開発し、2022年3月に南武線や鶴見線で試験走行開始をめざす、水素燃料電池ハイブリッド車両 FV-E991系「HYBARI」。

JR東日本は鉄道車両の設計・製造の技術、日立はJR東日本と共同で開発した鉄道用ハイブリッド駆動システムの技術、そしてトヨタは燃料電池自動車 MIRAI(ミライ)や燃料電池バス SORA(そら)の開発で培った燃料電池の技術を、それぞれ融合させ、2年後の FV-E991系 試験走行をめざして開発がすすんでいる。

トヨタの水素燃料電池車 ミライ は、2014年に初代モデル JPD10型 が登場し、6年のときを経てフルモデルチェンジ。ことし2020年12月に2代目の JPD20型 が誕生した。

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このミライの新旧スペックと、FV-E991系の数字を比べるひとつの尺に、水素のタンク容量がある。

初代ミライJPD10型は、タンク容量122.4リットル(前方60.0リットル+後方62.4リットル)。

2代目現行ミライJPD20型は、タンクを1本増やし、141リットル(前方64リットル+中52リットル+後方25リットル)。

いっぽう鉄道の FV-E991系は、1020リットル(51リットル×5本×4ユニット)。現行形ミライ7台ぶんの水素タンク容量を持つ。

使用圧力は70MPaと3つとも変わらない。駆動用モーターの出力は、現行ミライJPD20型が48kW、FV-E991系が95kW(×4)。

1充填航続距離は現行ミライJPD20型が750km、FV-E991系が140km。東京から東海道線で沼津までが126.2km(営業キロ)。東京から平塚までを往復すると127.6km。

大阪エリアだと、京都と姫路の間が130.7kmという具合で、この駅間ぐらいFV-E991系は自力で走れる。いっぽう、現行ミライは東京から東名高速道や山陽自動車道を伝って、広島・尾道まで行ける。東京~名古屋 往復も行ける。

―――トヨタミライに乗ると、その圧倒的な静かさと加速力にいつも驚かされる。2代目ミライJPD20型は初代を超える走りとスタイリングに、思わず「ほしい」と感じてしまう。前輪駆動(FF)から後輪駆動(FR)に変更した点も、運転する楽しさが増えた。

鉄道車両に加速度はあまり求められないから、FV-E991系の登場で体感するのは、おそらく静粛性。ディーゼルハイブリッドのように、エンジンが駆動することもないから、常に静かなはず。聞こえてくるのは床下でまわるモータ音ぐらいかも。あと、もちろん環境性も。