北海道、北陸、九州(西九州ルート)の3線区で建設が進む整備新幹線 画像:国交省

2020年12月21日に閣議決定された国の令和3年度政府予算案では、国土交通省鉄道局扱いの整備新幹線整備事業費補助として令和2年度より10%多い4860億円の事業費が認められた。このうち国の予算に当たる国費は本年度と同額の803億円7200万円。

整備新幹線の建設中線区のうち、北陸新幹線金沢―敦賀間は工期が1年程度延び、事業費も増加する見通しとなった。この点について国交省は、赤羽一嘉国土交通大臣と麻生太郎財務大臣との大臣折衝で、事業主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)の自己管理強化などにつき、さらに検討を進めることを報告して同額予算を確保した。JRTTは現下の低金利状況も活用して事業費を増額し、北海道新幹線や九州新幹線西九州ルートも合わせて着実な新幹線建設に取り組む。

線区別の事業費配分額は、北海道新幹線新函館北斗―札幌間950億円、北陸新幹線金沢―敦賀間3300億円、九州新幹線武雄温泉―長崎間610億円。工事がヤマ場を迎えた北陸が、令和2年度の2750億円に比べ550億円増額された。

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このほか新幹線関係では、ルートが決定済みの北陸新幹線敦賀―新大阪間の環境影響評価などに12億6000万円、青函トンネル新幹線・在来線共用走行区間の貨物列車走行調査に1億4000万円の事業費が認められた。

在来線では、2022年度下期開業を目指す神奈川県の相鉄・東急直通線などに必要な事業費を確保。羽田空港の鉄道アクセス充実では、JR東日本が羽田空港アクセス線東山手ルートの環境影響評価、京浜急行電鉄が京急空港線の引上線設計に取り組んでおり、国レベルでも羽田の国際競争力強化につながるアクセス充実を支援する。

文:上里夏生