人が持てるサイズの固定翼無人機

無人航空機の総合展示展「Japan Drone(ジャパンドローン)2021」が2021年6月14日から3日間、千葉市の幕張メッセで開かれ、1万2533人が来場した(オンライン有料参加者を含む)。ドローンの業界団体・日本UAS産業振興協議会と、イベント企画会社のコングレが共催。国土交通、経済産業、農林水産の3省と復興庁などが後援した。

出展企業・団体は約100社(者)で、NTTドコモ、ソフトバンク、ソニーグループ、ヤマハ発動機など大手も参加した。鉄道業界でも線路保守や資材配送などでドローンへの関心は高く、会場には鉄道事業者や車両メーカー関係者が来場した。

一般的な航空機に近い形状の固定翼無人航空機を展示したのは、東京に本社を置く日本海洋。本業は海事分野の商社で、最近はドローンビジネスに力を入れる。スロベニア製の機体は翼長1.5メートル、全長75センチ。通常のドローンが飛行時間30分程度なのに対し、固定翼機は3倍以上の飛行が可能で、行動範囲が広がる。機体にカメラを搭載し、撮影や映像の送信が可能。災害時の現状把握などに向け、鉄道事業者からの引き合いがある。

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東京の旅行会社・フレンドリートラベルは、ドローンツアーを売り込んだ。ドローンで鉄道を空撮したという愛好家は多いが、多くの鉄道は危険回避のため制限を設ける。〝ドローンパイロット〟を受け入れるのが千葉県の第三セクター・いすみ鉄道で、国吉駅からドローンを飛ばすツアーには鉄道社員が立ち会う。いすみ鉄道には、菜の花畑を走る国鉄タイプの気動車など絵になる光景が多い。

会場では、ドローンビジネスの市場規模予測を発表。ICT(情報通信技術)系シンクタンクの推計によると、2020年度に1841億円だった国内ドローン市場は5年後の2025年度には6468億円に拡大する。内訳は機体1310億円、サービス(ドローン測量などのビジネス)4361億円、周辺サービス(パイロット育成など)797億円。安全確保のため、機体認証制度やパイロット資格の厳格化といった動きがある。

感染拡大防止に万全の配慮をしたジャパンドローン2021会場全景

文/写真:上里夏生