Suica(機体上部ブルーのカード)をかざしながらゴール改札機に迫るドローン(筆者撮影)

鉄道業界で急速に普及するドローンの飛行操縦技術を競う、レース形式の「JR東日本グルーブ ドローンDXチャンピオンシップ」が2025年6月7、8の両日、東京都港区の高輪ゲートウェイシティで開かれた。

JR社員が電気、建設工事(土木)、建築、メンテナンス(保線)など部門ごとにチームを編成。駅をイメージした迷路コースで走破タイムを競い、電力ネットワーク部門の「E-Wings」が初代チャンピオンに輝いた。

鉄道は高所、狭あい箇所の作業が一定量あるが、人手で困難を伴う山間地やトンネル内の点検などに威力を発揮するのがドローンだ。電車にエネルギー供給する送電鉄塔は高さ60メートルにも及ぶが、厳しい条件下でもドローンなら効率的に点検作業をこなせる。トンネルの天井・壁面調査も、ドローンの活躍分野だ。

ドローンの操縦技術を持つ社員はまだほんの一握りで、JR東日本の関係部門は講習会やドローンスクールへの社員派遣、専門講師を迎えるなどで育成に取り組む。会場での説明では、ドローン免許を取得したりライセンスを目指す社員も現れ始めているという。

現在は試行段階だが、ドローンは現場社員の業務を大幅に効率化。将来は飛行技術を持つ社員を採用する可能性もあり、幅広い人材確保にも期待がかかる。

2025年3月にまちびらきした高輪ゲートウェイシティでのドローンレースは、社員のスキルアップとともに話題づくりが狙い。JR東日本と、CalTa(カルタ)、Liberaware(リベラウェア)のスタートアップ(ベンチャー)2社が共催した。

スタートアップ2社は2025年4月、大阪・関西万博に出展。「ドローンを活用した未来の鉄道点検」をプレゼンしている。

チャンピオンシップレースは迷路のようなコースをフライトした後、機体にSuicaをセット。ゴールは駅の改札機仕立てで、Suicaをタッチして改札が開けばフィニッシュという仕掛けだ。

ドローンレースはニュースポーツ、eスポーツらしく、バックミュージックが流されDJが実況放送。機体カメラの映像が会場スクリーンで放映された。

高輪ゲートウェイシティ初のドローンイベントでは、機体の性能評価を手がける新潟県柏崎市の新潟工科大学などがブース出展して技術交流。チャンピオンシップ2日目には、鹿児島県をベースに活動するドローンプロレーサー・松山侑暉(ゆうき)選手らが出場するデモンストレーションレースも開かれた。

ドローンは機体カメラの映像を見ながら対面ブースで操縦する(筆者撮影)

記事:上里夏生

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