日本の3D教育いま、イギリス、アメリカ、オーストラリア、シンガポール、インド、中国のはるか後ろを追いかける格好。日本は3D教育後進国で、社会全体で深刻な3D技術者不足に直面している。

さらに、3D教育者の不足も深刻。3Dを学ぶ機会もほとんどないのが現状。そのため、海洋研究の分野でも3D技術者は常に不足し、3D技術を学ぶことにより解決できる問題が未だに山積している。

―――こうしたニッポンの3D教育現状を打破すべく、造形師・デザイナーで3Dモデリングの第一人者、吉本大輝を中心とした「海洋研究 3Dスーパーサイエンスプロジェクト」が動き出した。

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この海洋研究 3Dスーパーサイエンスプロジェクトは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環としてスタート。中学生を対象に、3Dプロフェッショナル育成をめざす、日本初のSTEM教育プロジェクトとして始動。その事務局長を吉本大輝が務める。

選ばれた中学生研究メンバーには、最新の3Dプリンターとペンタブレットを

今年度の海洋研究 3Dスーパーサイエンスプロジェクトでは、「海洋生物に興味がある」「3Dプリンターや3Dモデリングなど3D技術に興味がある」といった中学生9名が研究メンバーに選ばれ、全15回の授業で一人ひとつの海洋生物について徹底的に研究し、3Dデータを活用し発表していく。

この9人の中学生研究メンバーには、ミマキエンジニアリング製フルカラー3Dプリンターや、ワコム製のペンタブレット「One by Wacom」が無料で支給され、9月の入学式・プログラム導入・海洋基礎演習を皮切りに、3D技術基礎演習、3D技術応用などを学び、2022年3月中旬の日本財団ビルでの卒業式・研究発表会にむけて取り組んでいく。

吉本大輝の巧みな技に中学生研究メンバーは夢中!

9月19日に東京・渋谷で開かれた入学式・プログラム導入・海洋基礎演習では、吉本大輝のほか、東京海洋大学 海洋環境科学部門 中村玄 助教、日本財団 海洋事業部 中嶋竜生 部長などが登場。それぞれがこのプロジェクトに期待を込めた。

第1回授業の後半では、吉本大輝がワコム製のペンタブレットと、業界水準デジタル彫刻ソフトウェア「ZBrush」をつかって3Dモデリングの実演を中学生研究メンバーに披露。

中学生研究メンバーのひとりが「コククジラをモデリングしてほしい」と伝えると、吉本大輝は、ワコム製ペンタブレットと、デジタル彫刻ソフトウェア ZBrush を操り、5~10分でクジラのディティールを3D再現。中学生研究メンバーらはその技にのめり込む……。

「ZBrushは、球体を配置して引っぱったりくぼませたり、盛り付けたりしてモデリングしていくソフト。3Dのいいところは、粘土で人の顔をつくるときに目や耳など、左右2つをつくるよね。でも3Dの世界では、シンメトリーというデフォルト機能で片面だけつくればいい」

「ギズモという機能で球体を引っ張る。こんどはムーブブラシで粘土を引っ張るイメージ。こうやってちょっとずつクジラのアウトラインをつくっていく」

ワコム最新ペンタブレット「One by Wacom」でどうつくるか

こうした吉本大輝のペンさばき・アドバイスを、中学生研究メンバーらはうなずきながら楽しく学んでいたようす。

また、中学生研究メンバーから「魚のひれをリアルにちかい感じで動かすためには、可動部などの再現をどうすればいい?」という質問に、吉本大輝は「いい質問」と伝え、こう続けた。

「ハリウッド映画の制作現場でも使われている ZBrush は、映画『ゴジラ』の造形部分などにもこの ZBrush が使われている。でも ZBrush はアニメーションを付けられないから、動かすには別のソフトに取り込んでアニメーション化していく」

―――3D技術を活用した海洋生物の研究を通じ、将来さまざまな分野で活躍できる人材を輩出することをめざし、物事を深く追求できる人材を育成することをめざす「海洋研究 3Dスーパーサイエンスプロジェクト」。

半年間かけて、中学生研究メンバーはどんな3Dモデリングを、ワコム最新ペンタブレット「One by Wacom」で造り出していくか、楽しみ。

◆海洋研究 3Dスーパーサイエンスプロジェクト
https://kaiyo-3d.y-artfactory.jp/

◆One by Wacom ペンタブレット
https://www.wacom.com/ja-jp/products/one-by-wacom