日本国有鉄道は当時進められていた行政改革の柱の一つとして、昭和も終わりを迎えつつあった1987年(昭和62年)4月1日に分割民営化され、いまでは当たり前となった6つの旅客鉄道会社と1つの貨物鉄道会社が誕生しました。

そんな時代の鉄道の記憶を振り返ってみたいと思います。今回は先日まで行われていた「東北デスティネーションキャンペーン」にちなみ、東北地方の鉄道を振り返ってみましょう。

東京から東北地方に向かう王道は、なんといっても東北本線でしょう。現在では上野から黒磯までの東京近郊区間は「宇都宮線」という何とも言えない愛称になっていますが、私の中ではいまでも「東北本線」です。何の変哲もない湘南色の115系で黒磯駅に到着すると、「東北」が始まります。なぜなら、車両ががらりと変わるからです。

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黒磯からは交流電化となっていて、115系などの直流用電車はこれ以上北上できません。そこで登場するのが交直両用の電車で、おもに急行型の455/457系が運用されていましたが、581/583系特急電車を近郊型改造した715系(仙台配属車は715系1000番台)も運用されていました。

こちらはクハネ581改造のクハ715 1000番台です。そして逆側の先頭車は「食パン」と呼ばれた中間車サハネ581改造のクハ715 1100番台です。元祖魔改造車両の一つと言えるでしょう。

4両編成が基本ですが、2編成を連結して8両での運用もありました。

こうして東北の旅が始まっていたのです。

記事:芝系太