2021年の横浜駅西口。かつて「日本一寂しい駅前」と言われたのが信じられないほどの活気にあふれています(筆者撮影)

2022年は日本の鉄道にとって大きな節目の年です。日本で初めて鉄道が走ったのは1972年9月12日(旧暦。新暦では10月14日で、これが「鉄道記念日」の由来になりました)の新橋―横浜間というのは、本サイトをご覧の皆さんには説明不要でしょう。来年、日本の鉄道は開業150周年を迎えます。

ということで、本コラムでは最初に汽笛一声が鳴り響いた横浜の鉄道の歴史をたどります。きっかけは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が2021年10月6、7の両日、横浜市内で開いた19回目の「技術研究会」。機構職員の研究発表に続く特別講演では、横浜都市発展記念館の岡田直主任調査研究員が、「地図で見る横浜の都市と鉄道の歴史」と題し、横浜の街と鉄道の歩みを回顧しました。本コラムは講演のポイントを紹介。画像は、横浜駅周辺で撮影した「現在」と、特別講演で岡田研究員が披露した「過去」を並べました。

東京―横浜間は支線だった

NHK大河ドラマの「青天を衝け」。渋沢栄一が日本の近代化に必要なものとして、「鐵道」を挙げたのをご覧になった方もいらっしゃるでしょう。政府は明治維新翌年の1869年、早くも「政府による国営の鉄道建設」を決議します。

建設路線は、本線が東京―京都・大阪、支線が東京―横浜、大阪―神戸、琵琶湖付近―敦賀の3本で、東京―大阪間は現在の東海道線筋ではなく、内陸の中山道ルートが考えられていました。

「東京―高崎―松本―岐阜―大阪の中山道ルートは交通不便で、鉄道が利用される」の思惑もあったようですが、工事費が高額になるため断念。代わって幕末に開港5港の一つに選ばれた横浜(神奈川)と、首都の東京を結ぶ東海道線が、日本の鉄道のトップバッターを務めることになりました。