埼玉県所沢市に本社を置く西武鉄道は18日、2024年度初頭から多摩川線で無線式列車制御(CBTC)システムの実証試験を始めると発表しました。

CBTCは「Communications Based Train Control」の略。無線技術を活用して列車の位置と速度を常に把握し、列車間の安全な距離を確保するよう速度を制御する「移動閉そく式」の信号保安装置です。

西武鉄道は、同社で使用されている「列車情報装置」を活用した「西武式」のCBTCシステムを日本信号と共同で開発しており、多摩川線での検証結果や鉄道各社の動向を踏まえ、次世代信号システムの方式を決定し、2030年代に全線で導入する計画です。

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この西武式CBTCは今後、「高度な自動運転の導入」「高度な踏切制御による『開かずの踏切』対策」といった将来の技術革新の基盤システムとなります。

西武式CBTCのメリットは

現在使われている地上信号機や軌道回路といった地上設備の大半が不要になります

現在の信号システムでは、線路を一定区間(閉そく区間)に区切り、軌道回路や地上信号機を用いて同じ区間に1列車しか進入できないようにすることで、列車同士の衝突を防いでいます。

CBTCシステムの場合、無線技術を用いて列車の位置を把握するため、信号機や軌道回路などの地上装置の大半が不要になり、メンテナンスコストを抑えられるようになります。

また、システムの一部に障害が発生しても機能が維持できるようシステムを二重化することで、信号装置の故障による輸送障害の発生リスクの低減させ、輸送品質の向上にも貢献します。

多摩川線の101系はどうなる?

SNS上ではこの発表を受け、多摩川線の101系が2024年度に引退し、昨年話題になった「サステナ車両」が導入されるのではないかという予想がなされています。

西武鉄道広報部によれば、今後の予定について(現時点では)まだ具体的に決まっていないということでした。なお、西武式CBTCで使用する車上装置は101系にも積まれているそうです。

(画像:全て西武鉄道)