では駅ぶらスタートします【駅ぶら】06京王電鉄 京王線001
※2023年5月撮影
トップ画像は、京王線平山城址公園駅。下りホームから上り特急7000系電車。「陣馬」ヘッドマークは「2023高尾・陣馬スタンプハイク」開催にあわせて4月21日から6月30日まで掲出されていました。
さて、新宿と言えば、1956年(昭和31年)生まれ筆者が子供の頃からデパートなどに行った巨大繁華街。一日の駅乗降者数約350万人は「日本一」と言われ公共交通の巨大なターミナルです。JRの山手線、中央線、総武線、埼京線、湘南新宿ライン、さらに民鉄では今回【駅ぶら】をする京王線、他に小田急線、西武線、さらに東京メトロ丸ノ内線、都営地下鉄新宿線(京王線と相互乗り入れ)、大江戸線の地下深いホームもあります。
写真は、新宿駅西口広場の反対側から見た京王新宿駅。京王百貨店新宿店の地下に京王線のホームがあります。
※2023年5月撮影
新宿駅の歴史はとても複雑です。どこから手をつけたら良いのか正直悩みます。
まずは、京王グループのホームページにあった京王線の歴史から紹介しましょう。
「当社の前身である京王電気軌道株式会社は、1910(明43)年9月に設立され、3年後の1913(大2)年4月に笹塚~調布間が開通しました。その後、順次路線を延伸、1916年10月に新宿~府中間が開通、1926年12月には府中~東八王子間(25年3月開通)の営業をしていた玉南電気鉄道株式会社を合併し、新宿~東八王子間の統一営業を開始しました。」
※東八王子駅は、1963年(昭和38年)現在地に移設され京王八王子駅に改称されています
この京王電気軌道の新宿駅は現在の地下ホームの駅とは場所も違いました。JR新宿駅南口の面する甲州街道をさらに東に進み明治通りと交わる新宿三丁目交差点、古くは甲州街道と青梅街道が別れる新宿追分交差点と呼ばれた辺りにあった様です。当時は電気軌道、いわゆる路面電車でした。
※2023年5月撮影
太平洋戦争下で国による民鉄統合などを経て
「1948(昭23)年6月1日、東京急行電鉄、小田急電鉄、京浜急行電鉄、東横百貨店、そして京王帝都電鉄の5社に分割されました。」
「設立当時、当社の営業キロは51.9キロ、車両数は京王線70両、井の頭線37両でしたが、多くは戦前のもので戦災応急復旧車も含まれていました。
また、朝夕の混雑率は最高250~300%という記録もあり、首都交通を担う当社にとって、輸送力増強と施設の復旧は急務でした。」
「新宿駅から320メートルほどの区間は、甲州街道上の併用軌道となっており、運転保安上のネックとなっていました。1953(昭28)年、甲州街道の拡張に合わせて緑地帯を設けて道路交通と分離・移設する工事を行い、保安度は幾分向上しましたが、甲州街道を横断する踏切が残り、依然として徐行運転を余儀なくされていました。」
※2023年5月撮影
「1960(昭35)年6月に東京都が新宿副都心計画を発表すると、新宿を拠点とする企業に開発の機運が芽生えました。当社も、新宿駅付近の併用軌道地下化に合わせ、新宿駅の駅施設を地下化し、地上に駅ビルを建設するという大改良工事を1961年5月に開始しました。1962年、京王線は最高時速を75キロから85キロにアップし、新宿~東八王子間の急行の所要時分を53分から50分に短縮しました。」
「さて、1963~64年は、京王線にとっては大きな転換期でした。まず1963年4月には、新宿駅と新宿駅付近の線路が地下化され、京王線の運転保安上のネックであった併用軌道が廃止されました。同時に、新宿~高幡不動間で17メートル級車両による5両編成運転も開始され、輸送力がアップしました。」
「続いて8月には、輸送力アップのために進められていた昇圧工事が完成し、架線電圧が600ボルトから1500ボルトになりました。」
「昇圧と同時に、新型の5000系が登揚しました。それまでグリーン一色であった同線にあって、アイボリーにエンジの帯の斬新な塗色をまとったこの新型車両は、そのスピード感あふれるデザインとともに京王線のイメージを大いにアップさせました。この車両は、3000系に続き、昭和39年度鉄道友の会ローレル賞を受賞しています。」
・・・と現在の京王線に近い姿になったところで、現在の京王線に戻りましょう。
※2023年5月撮影
長くなったので次回に続きます。
(写真・文/住田至朗)
※駅構内などは京王電鉄さんの許可をいただいて撮影しています。
※鉄道撮影は鉄道会社と利用者・関係者等のご厚意で撮らせていただいているものです。ありがとうございます。
※参照資料
・『京王ハンドブック2022』(京王電鉄株式会社広報部/2022)
・ 京王グループホームページ「京王電鉄50年史」他
下記の2冊は主に古い写真など「時代の空気感」を参照しました
・『京王電鉄昭和~平成の記録』(辻良樹/アルファベータブックス/2023)
・『京王線 井の頭線 街と駅の1世紀』(矢嶋秀一/アルファベータブックス/2016)