九州新幹線の線路用地を活用した「でんきの駅川尻」(写真:住友商事九州)

鉄道会社のニュービジネスのトレンドといえば、「再エネ(再生可能エネルギー)の有効活用」。線路敷きに太陽光パネルを敷いて、電力を自社利用する「電気の自給自足」だ。かつては「貯められないエネルギー」とされた電気。しかし、技術進歩で貯められるエネルギーへと変身しつつある。

そうした流れを先取りして、熊本県熊本市南区の九州新幹線沿線に蓄電基地を開設したのがJR九州。ネーミングは、鉄道会社らしさ満点の「でんきの駅川尻」。施設は2024年3月21日に完成。約半年間にわたる試験を経て、同年9月からの本格稼働を予定する。

JR九州と住友商事(住商)、それに住商の地域子会社・住友商事九州の3社コラボによる新規事業。「でんきの駅」は施設名を兼ねる企業名(合同会社)。今後、JR九州の沿線用地や遊休地への事業展開をめざす。

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施設完成を前に、熊本市とJR九州、住商、住商九州の4者は2024年2月、環境負荷低減を志向する「カーボンニュートラルの実現に向けた連携協定」を結んでいる。

でんきの駅第一号の川尻は熊本市南区の九州新幹線高架橋の脇で、在来線はJR鹿児島線川尻駅が近隣。定格出力は1.5メガワットで、発電可能日数などの条件は付くが、でんきの駅川尻はおよそ300世帯分をまかなえる。

もう一つのエコポイントが蓄電の仕組み。施設内では、EV(電気自動車)約350台分のリユースバッテリーに電気を貯める。JR九州などはでんきの駅の活用で、電力の需給バランス調整に役立てる。

でんきの駅は、経済産業省の2022年度支援事業による補助金を活用。住商はこれまで日本の鉄道システムの海外展開で主要な役割を担ってきたが、今回は省エネの形で鉄道の進化に貢献する。

EVバッテリーが整然と並ぶ施設内(写真:住友商事九州)

記事:上里夏生

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