南海電鉄は、南海本線立体交差事業の進捗に伴い、7月26日(土)始発から諏訪ノ森~羽衣間の下り線(関西空港・和歌山市方面)を仮線に切り替えると発表しました。これを受け、7月26日の始発列車から諏訪ノ森駅~羽衣駅間の下り線を仮線に切り替え、堺・湊・石津川・諏訪ノ森・浜寺公園の5駅では一部普通列車の発着時刻が変更となります。
大阪府堺市の海側の交通渋滞の原因となっている踏切を無くすための連続立体交差事業は、新たな段階へと進みます。またこの事業では、明治・大正時代に建てられた国の登録有形文化財、浜寺公園駅と諏訪ノ森駅の美しい駅舎を保存・活用しながら高架化が進められます。

浜寺公園駅の通路変更

浜寺公園駅では下りホームを西側に移設し、西改札口・東改札口からの通路を変更。ホームは従来の1・2番のりばから1番のりばのみに変更予定です。
(画像:PIXTA)

浜寺公園駅の通路変更に関して (画像:南海電鉄)

南海本線連続立体交差事業に関して

堺市によると、同市の海側を南北に走る南海本線は、地上を走行するため臨海部と内陸部を分断し、特に浜寺地域では幹線道路と踏切が多く交差しています。このため、交通渋滞や歩行者の混雑が常態化していました。
そのため、南海本線を連続立体交差化することで、周囲の交通渋滞解消と利便性の向上を図ります。

南海本線連続立体交差事業 位置図 (図:堺市)

南海本線(堺市)連続立体交差事業は、事業延長約2.7キロメートル(堺市域:約2.3キロメートル 高石市域:約0.4キロメートル)に渡る事業で、7箇所の踏切が除却され、諏訪ノ森駅、浜寺公園駅が高架化されます。
関連して、諏訪森駅前線整備、諏訪ノ森駅と浜寺公園駅の駅前交通広場整備事業、浜寺公園駅前土地区画整理事業が同時期にが行われます。
概算事業費が約423億円とされており、2028年3月末の完成を目指しています。

登録有形文化財の浜寺公園駅・諏訪ノ森駅はどうなる?

浜寺公園駅及び諏訪ノ森駅西駅舎は、それぞれ明治40年、大正8年に建築された歴史的建造物であり、1998年に国の登録有形文化財になっています。堺市では、今回の高架化工事の期間中、旧駅舎を工事に支障のない位置に曳家工事により移動し、改修工事後に地域の歴史・文化の振興の発信や、市民交流の場として地域による試験活用を行います。駅前広場に両駅舎を保存・活用しながらの駅前整備を目指すことになります。

諏訪ノ森駅のイメージ (画像:ジェイアール東日本建築設計事務所)

南海本線立体交差事業における仮線切り替えは今回が最後となり、事業区間全体で高架橋構築工事を実施していくこととなります。

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