【鉄の一瞥 30】 碓氷峠鉄道文化むら その2

2017.05.12

「鉄道展示館」から広大な広場に出ました。30両ほどの車両が並んでいましたが時間の制約で全てを丁寧に観ることはできませんでした。

旧国鉄時代の「動力近代化計画」は1960年(昭和35年)から始まりました。これは蒸気機関車をディーゼル機関車・電気機関車へ、客車を動力分散方式のディーゼルカー・電車へとシフトする計画でした。別名「無煙化計画」とも呼ばれました。

1960年当時、国鉄の全営業キロ2万キロのうち電化されていたのは、わずか10%程度の2237km。蒸気機関車は全国で4500両以上が運用されていました。対するディーゼル機関車はたった118両だったのです。しかし蒸気機関車の熱効率は5%程度と低く、燃料の石炭と水を携帯して走行し、石炭の燃えかすを排出する必要もあったため走行距離が短く、言い換えれば2万キロもの営業キロを維持するにはとても多くの蒸気機関車が必要だったのです。蒸気機関車は観光用やノスタルジーの対象として人気がありますが、実用上は燃費が悪く、勾配に弱く、大量の煙でトンネル内では乗客が夏でも(冷房など無い時代です!)いちいち窓を閉めなければならないだけではなく、運転士の窒息事故も多発しました。

ディーゼル機関車DD51 1はこの「動力近代化計画」「無煙化計画」の立役者として1962年(昭和37年)に登場し1978年(昭和53年)までに649両が製造されました。速度では大型蒸気機関車C61形を、牽引力ではD51を上回る性能を発揮しました。正に蒸気機関車の後継機だったのです。

「碓氷峠鉄道文化むら」の1号機は2号機以降と屋根や前部の形状が異なっているので見慣れたDD51とは少しイメージが違います。1962年(昭和37年)日立製作所製で1986年(昭和61年)に廃車となりました。

こちらはキハ20一般型気動車です。1957年(昭和32年)からキハ17系気動車の後継として1126両も作られました。現在では全国でもわずかな台数が民間鉄道会社で大切に運行されています。

キハ20の隣にはEF65電気機関車。わが国の標準機関車として1965年(昭和40年)から308両が製造されました。500番台はブルートレインや特急貨物を牽引する花形機関車、この520号機は貨物列車で初の100km/h運転を実現した往年の名機です。

EF65電気機関車の隣にEF62の1号機が置いてありました。「鉄道展示館」に最終号機のEF62 54があったので、その7年前に作られた車両ですね。

北陸本線のボトルネックであった敦賀〜南今庄間は4ヵ所のスイッチ・バックを擁し、25‰の急勾配が続く単線区間で車窓からの眺望は素晴らしく、行幸の際に大正天皇が風景に見とれていたためにお召し列車の発車を遅らせたという逸話が残っているくらいです。しかし所要時間がかかる上に蒸気機関車では貨物の増加に応えられず駅頭滞貨が3万8千トンにも及んだのです。

そこで、5年の歳月をかけ1962年(昭和37年)に北陸トンネル(13、870m)が開通しました。これでこの区間の所要時間は1時間以上短縮されました。北陸トンネルの急勾配と湿度の高さへ対策として誕生したのがEF70形電気機関車です。北陸トンネル専用機でしたが既に全車両が廃車されています。

EF70形電気機関車の横に懐かしいオハネ12、3等寝台車があったので車内を撮影しました。筆者が学生時代にはもちろん東海道新幹線は開通していましたが、好んで新幹線よりも料金の高い「急行銀河」で東京〜大阪間を何度も往復したことを思い出しました。

キハ35一般型気動車です。大都市近郊の非電化路線で混雑緩和のためにオールロングシート、両開きドアが採用されています。この901号機は房総地方での潮風による塩害対策としてステンレス車体の試作車です。後に八高線、川越線でも運用されました。

これは初めて見た車両です。全長が27.5mもあります。操重車(クレーン車)ソ300、走行用ディーゼル・エンジンを備え25km/hで自走可能。35トンまでの荷物を吊り上げることができました。1966年(昭和41年)日立製作所製で2000年(平成12年)に廃車になりました。

何と自重が154.7トン!もあります。

このようなパネルがあるので分かり易いのです。

さらに車両の傍には行けませんが、丘の上にも車両が並んでいました

EF63の横に189系特急電車が置いてありますがかなり塗装が傷んでいました。EF63との協調運転で12両編成が可能な横軽協調用電車でした。

EF63の重連です。

屋外展示の横を前面の貫通扉を開けたEF63が走ってきました。

運転したのは中学生くらいの少年でした。どうやらEF63運転体験の受講者の様です。

時間が無くなってきたので帰り際に鉄道資料館に寄りました。

巨大なジオラマがありましたが残念ながらゆっくり眺める時間がありませんでした。

ゲート近くに新幹線用軌道確認車 GA-100がありました。平坦な区間では時速100km/hでの検査が可能なのだそうです。全長が10mもないので時速100キロは迫力がありそうだなぁ、という見当違いな感想を持ちました。

これだけ回るのに約3時間かかりました。ノンビリと車両を見て楽しむには半日以上の時間があった方が良いと思います。これからの季節、お弁当を持って家族で訪れるにも良い公園です。

※2013年秋の訪問・撮影なので展示車両などの変更があります。

(写真・記事/住田至朗)

TAGS 鉄道旅


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