「ながまれ海峡号」は「道南いさりび鉄道」が運行

2016年3月、北海道新幹線開業と同時にJR北海道から並行在来線として分離された江差線五稜郭駅〜木古内駅間を運営する第三セクター「道南いさりび鉄道」が誕生しました。2006年(平成18年)北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線(旧国鉄池北線)が廃止されてから10年ぶりに北海道に誕生した唯一の第三セクター鉄道事業者です。

「ながまれ海峡号」は 日本旅行(北海道支社)がプロデュース

「ながまれ海峡号」の食事や車内でのイベントなどのコンテンツは、日本旅行北海道の永山茂氏を始めとする日本旅行の社員が企画し、旅行会社がプロデュースする初の観光列車として2016年5月から運行されています。北海道内で食事を伴う観光列車としては初の試みでした。初運行以来ほぼ満席と大好評です。そして鉄旅の日本一と言える「2016年度 鉄旅 OF THE YEAR」グランプリ賞に輝きました。

豪華な内装が施されているわけでもなく、沿線に華やかなテーマパークがあるわけでもない。それどころか関係者自ら“日本一貧乏”と称するこの小さな観光列車が、なぜ「日本一」に輝いたのか?
そこには旅行会社、鉄道会社、地域住民が三位一体となり、知恵と情熱を結集させて破格の低予算を乗り越えた物語がありました。

「“日本一貧乏な観光列車”が走るまで」

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「ながまれ海峡号」運行までの物語を詳細に記述し、鉄道を通した地方創生推進の一助ともなる一冊です。永山氏と関係者の証言で描きだすこのプロジェクトの“軌跡”からは、地方再生の起爆剤となりうる鉄道観光の未来も見えてきます。

本の構成は、

プロローグ
第1章 北海道新幹線がやってくる!
第2章 誕生、〝日本一貧乏な観光列車〟
第3章 「ながまれ海峡号」を支える人々
第4章 これからの地方創生と鉄道観光
エピローグ

3月2日(金) 発売
1400円+税
四六版 192ページ

全国の書店 ネット書店などで購入できます。

昨今、大鉄道会社の資金力にモノを言わせた豪華な観光列車が妍を競っていますが、個人的に「高額=贅沢」という些かバブリーな価値観に疑問を感じています。一方ではエリア人口減少などで廃止に追い込まれるローカル線も存在しているのです。不必要に豪華な観光列車の揃い踏みに、格差社会を助長するかの様で不快感を示す意見もあります。豪華観光列車の想定されるユーザー、多くは大都市圏に住む裕福な人々です。地方の人々は一方的に”おもてなし”を提供するだけで、ほとんどの場合、豪華な観光列車のユーザーではありません。

しかし、全国平均を大きく超え、凄まじい勢いで人口減少の続く北海道で、新たな地方再生の方途として 「ながまれ海峡号」のあり方に眼を向けることは、鉄道に関する別の視点を提供してくれるかもしれません。