※リニューアル前の旧銚子駅舎

長い間に「駅」は「汚い・古臭い・垢抜けない」場所になっていたのでしょうか

文明開化の日本で鉄道は文明の輝かしい象徴として始まりました。駅は新しい時代を現前させる夢の場所だったのです。しかし、歴史を経るに従って、より遠くに国有鉄道の線路は延び続けてゆきましたが、設備としての駅舎は取り残されたままになった印象があります。そして車両や運行設備を最新のものにしてゆくことに全ての力が注がれてきたのです。

同時に戦後はモータリゼーションによって利用者の意識に大きな変化が生じました。この40年間に鉄道は、移動手段の圧倒的な首位という地位を徐々に失っていったのです。大都市圏を除けば、もはや鉄道はクルマの運転ができない学生や高齢者、いわゆる交通弱者の移動手段になってしまいました。そして、地方では効率化の名の下に、利用者の少ない鉄道路線の廃止が続いています。

ここで大都市圏と郊外を結ぶ鉄道のポジショニングを再構築する動きが重要になってきました。

JR東日本千葉支社は「駅をもっと使い易い場所に」、駅設備のリニューアルを進めています。

JR東日本千葉支社 2018年度駅設備リニューアル工事 概要

《総武本線本八幡駅コンコース 2018年12月20日工事完了》
・駅の利便性・快適性向上のため、滑りやすくなった床や老朽化した壁面のリニ ューアルを行い、コンコース空間の環境改善を実施。
・周辺案内図等の情報発信コーナーを整備、地域情報の発信に貢献。
・本八幡駅は、近隣の葛飾八幡宮内にある「千本公孫樹(い ちょう):国指定天然記念物」の木が植えられていることから公孫樹(いちょう)をモチーフとしたデザインを実施。

《総武本線稲毛駅のトイレ 2018年11月8日使用開始》
・より快適にトイレを利用できるように、利用人数が多い駅を中心に、トイレの全面改修を実施
・稲毛駅では地元で行われている「夜灯(よとぼし)祭り」をコンセプトに、お祭りの実行 委員会の協力でトイレをデザインしています。

《デザインイメージ》
稲毛の海では、新月の夜、干潮時に出来た潮溜まりに取り残された魚をカンテラの灯りで獲る遊びの漁、夜灯(よとぼし)漁が行われていました。今回のトイレデザインはその漁を浜辺から見た光景をイメージしています。ファサード上部に描 かれた町並みは当時の稲毛の風景を再現しています。コンコースを通る人たちは、浜辺で夜灯漁を行っている人と同じ視線で眺めることができます。

《トイレの和便器の洋式化》
・利用人数が多い駅以外では、トイレに和式便器が残っていました。
・ライフスタイルの変化や外国人のお客さまの増加に伴い、和便器の洋式化を行っています。
・2018年度は、17駅37箇所のブースで、和便器の洋式化を実施します。

《外房線上総一ノ宮駅待合室 2018年12月28日使用開始予定》
・列車を待つ時間の快適化のために、ホームなどに待合室を整備しています。
・待合室の外壁のガラス面などに駅周辺の特徴をモチーフとしたデザインを行い、地元の方にも愛着を持ってもらるように努めています。
・上総一ノ宮駅では、サーフィンの国際大会が開かれる海岸が付近にあることから、海とサーフィンをデザインしました。

《ホーム縁端部の内方線付き点字ブロック》
・目の不自由な利用者にホームの内側をわかりやすく知らせる、ホーム縁端部の内方線付き点字ブロック整備を進めており、2018年度は14駅で整備します。

駅が時代に応じた「清潔で・モダンな・垢抜けた」場所に変貌し、利用者に憩いを与える様になってゆけば良いですね。