乗換の時間が短くて、館林行(東武10030系)はすぐに久喜駅を出発。左にJR東北本線は分かれてゆきます。

東武10030系の運転台。

またまた真っ直ぐ。トップ画像の東武10000系リニューアル車両とすれ違います。実は、この10000系10030系10080系やリニューアル車両は数が多い上に微細な差異があって東武線に不慣れな筆者には識別がタイヘン。

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すれ違う列車に気を取られたり、シャッターを切った瞬間に激しく揺れたり、でこんな近づいた写真になってしまいました。

久喜駅から4.3kmで鷲宮(わしのみや)駅。ちょっと不思議なホーム配置、単式ホームが同じ向きで並んでいます。元は島式ホームと単式ホームの2面3線だったのですが、中央の待避線を優等列車の通過待ちに使う必要がなくなったために廃止され、この様な奇妙な配置になった様です。使われなくなった待避線は保線用車両用。

目が悪いので、西武新宿線の鷺宮(さぎのみや)駅と見間違えそうになりました。

駅名標はひらがな表記なので間違えません。1902年(明治35年)鷲ノ宮駅として開業。1955年(昭和30年)”ノ”が取れて「鷲宮」に改称。1982年(昭和57年)にJR東北本線に東鷲宮駅が開業して利用者がそちらも利用する様になった結果、利用者は減少傾向だそうです。

2.7kmで花崎駅。相対式ホーム2面2線。

駅名標。1927年(昭和2年)開業。平均乗車人員は、11036人/日(2017年)。

残念ながら、筆者は埼玉県加須市というエリアに縁がないので、というか日本全国、特定の自ら生活したエリアを除いて縁はありません。でも、特に何と言うか「埼玉県加須市」に対して安易なイメージを抱く材料(情報)が筆者には何も無いのです。言い換えれば、無色透明な土地という不思議な感触です。もちろん同じことが埼玉県の東京都に面していないエリアにも該当します。
逆に言えば、秩父市、川越市、所沢市、飯能市、狭山市、入間市、新座市、志木市など、ごく限られたエリアにボンヤリしたイメージを抱いているに過ぎません。単に地名に聞き覚えがあるというのか、日常会話に登場することがあった地名ということかもしれませんね。これは東京都に接する埼玉エリアに対する一種独特な感慨かもしれません。友人が住んでいたりするからです。

栃木県、茨城県、千葉県になると何も知らないに等しいのです。駅以外では呼吸した場所も限定されます。

鉄道旅を趣味に全国を鉄路に沿って移動していますが、結局、その土地土地のことは極めて限られた光景として固有名と共に記憶されているだけです。観光地の記憶が絵はがきのイメージに過ぎないのと同じ現象かもしれません。

かと言って、花崎駅で降りて、何日かを過ごせば分かる、と言うモノではないでしょう。

ふと芭蕉庵桃青の句 旅人と我名よばれん初しぐれ が脳裏に浮かびます。
句の評釈は別に、矜持と同時に諦念の述懐にも筆者には聞こえます。

大きな駅です。3.7kmで加須駅。単式ホームと島式ホーム、2面3線。

ホーム。駅名標を撮り損ねました。

加須駅は、1902年(明治35年)開業。1985年(昭和60年)橋上駅舎・駅ビルが完成しています。斯くして駅前も駅ビルも見ないまま、次の駅に向かいます。

では、【私鉄に乗ろう 82】東武伊勢崎線東武動物公園以北 その3 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)