日本一長い第三セクター鉄道【私鉄に乗ろう98】三陸鉄道リアス線 その1

2020.01.05

※この「私鉄に乗ろう」の写真は、筆者がプライベートな鉄道旅で撮影したものです。鉄道会社さんから許可をいただいていませんので、乗車券などがあれば誰でも利用できる場所から、手持ちで撮影したスナップ写真です。ポケットに入るコンパクト・デジタルカメラ(SONY DSC-WX800)で撮影しています。特記のない写真は2019年4月2日撮影です。

2019年3月23日、東日本大震災から復旧したJR山田線宮古〜釜石間(55.4km)が新たに三陸鉄道に移管され、それまでの北リアス線久慈〜宮古間(71.0km)と南リアス線釜石〜盛間(36.6km)とが1本で結ばれ、三陸鉄道はリアス線全長163.0kmという第三セクター最長の路線になりました。

三陸鉄道の歴史

社会科の教科書で習った様に三陸沿岸はリアス式海岸で海近くまで山が迫るなど文字通り「陸の孤島」と呼ばれる集落が多く点在しました。明治末に「三陸縦貫鉄道構想」が作られました。
この構想に基づき、順番に開業します。

1928年(昭和3年)仙台駅〜石巻駅(仙石線)
1930年(昭和5年)久慈駅〜八戸駅(八戸線)
1935年(昭和10年)気仙沼駅〜盛駅(大船渡線)
1939年(昭和14年)釜石駅〜宮古駅(山田線)

戦後も工事は続けられ、下記が開業します。

1957年(昭和32年)気仙沼駅〜本𠮷駅(気仙沼線)開業
1968年(昭和43年)前谷地駅〜柳津駅(気仙沼線)
1972年(昭和47年)宮古駅〜田老駅(後の三陸鉄道北リアス線)①
1973年(昭和48年)盛駅〜吉浜駅(後の三陸鉄道南リアス線)②
1975年(昭和50年)普代駅〜久慈駅(後の三陸鉄道北リアス線)③

しかし国鉄の財政悪化で、完成目前の吉浜駅〜釜石駅(15.2km)と田老駅〜普代駅(32.2km)の2区間の工事が凍結されます。既に路盤は完成しレールの敷設もほぼ終了した状態でした。

さらに1981年(昭和56年)「国鉄再建法」の第1次特定地方交通線に指定され、開業したばかりの上記①②③が廃止となります。

この廃止を受けて岩手県と沿線市町村は1981年(昭和56年)に第三セクター「三陸鉄道株式会社」を設立。1984年(昭和59年)に未開業工事区間が完成し南リアス線(盛〜釜石)と北リアス線(宮古〜久慈)が開業。特定地方交通線を転換し開業した最初の第三セクター鉄道でした。

これによって悲願だった「三陸縦貫鉄道構想」は全通に至ったのです。三陸鉄道は開業から10年間は黒字経営でその後の第三セクター鉄道の誕生を後押ししました。しかし輸送人員が減少し赤字経営に転落、2003年(平成15年)には経営改善計画が策定されます。

2011年3月には東日本大震災で駅、橋梁、路盤など317箇所に甚大な被害を受けました。車両も3両が使用不能になりました。しかし被災者を応援するために地震発生5日後には久慈駅〜陸中野田駅間で運行を再開、2014年(平成26年)4月には全線が復旧しています。

既述の様に2019年3月23日には旧JR山田線宮古〜釜石間が復旧、三陸鉄道に移管され盛駅〜久慈駅間163.0kmのリアス線として運行再開されました。

リアス線全通後、3月中は祝賀ムードで混雑していると踏んで、筆者は4月2日に乗りに行きました。震災前、2009年(平成21年)9月に久慈駅から盛駅行に乗ったことがあります。当時はJR山田線を経由して久慈〜盛直通運転が1日に1本運行されていました。2016年11月には釜石から盛まで乗っています。

今回は、反対方向、盛駅8:05発久慈行に乗ります。

JR盛駅舎の正面。

すぐ横に三陸鉄道の駅舎。

大船渡線気仙沼駅〜盛駅間の鉄道は廃止されています。代わりにバスによるBRTが運行。筆者も朝のBRTで大船渡駅から盛駅に来ました。

かつてはレールが敷かれていましたが現在はBRT用の舗装路にホームが残っています。リアス線は右のホームに発着します。

久慈行です。三陸鉄道36-700形気動車。震災で車両を失った三陸鉄道にクゥエート国の支援で2013年(平成25年)に3両導入されました。さらに2014年(平成26年)全線復旧時に北リアス線に3両が導入、2018年(平成30年)と2019年(平成31年)にはリアス線163.0km全線運転開始に向けて8両が増備されています。2019年4月2日には「祝 三陸鉄道リアス線開通」のヘッドマークを装着していました。

発車時刻になりました。左に並んでいるのは岩手開発鉄道の石灰石輸送用ホキ100形貨車です。

左の三陸鉄道車庫の向こうに延びている線路は岩手開発鉄道赤崎線。

右側を旧大船渡線のBRTが並んでいます。

ここでBRTは西にカーブして南下、リアス線は東にカーブして北上します。

163.0km先の久慈までの鉄道旅が始まりました。

【私鉄に乗ろう98】三陸鉄道リアス線その2 に続きます。

追記:

このコラムは、2019年10月から11月にかけて書きました。御存知の様に2019年10月に関東〜東北を襲った大型で強い台風19号によって三陸鉄道リアス線も大きな被害を受けました。10月23日の三陸鉄道発表によれば、線路77ヵ所で路盤流出、土砂流入、のり面崩壊、また電力信号通信関連では15ヵ所でケーブル管路流出、信号器具箱浸水などの被害を受けました。被害状況はこちらをご覧ください。

その結果、全路線の約70%が運休になっています。10月末日の時点で運行されているのは、盛駅〜釜石駅間と宮古駅〜田老駅間になっています。

釜石駅〜宮古駅と田老駅〜久慈駅間は代行バスによる運行になっています。

台風19号やその後の大雨で被災された皆様と三陸鉄道にお見舞い申し上げます。また1日も早い復旧をお祈り申し上げます。

付記:2019年11月28日、津軽石駅〜宮古駅間9.2kmの復旧工事が完了し運行が再開されました。

付記:2019年12月28日、田老駅〜田野畑駅間20.9kmが復旧、運行が再開されました。

これでリアス線全線の半分ほどが復旧したことになります。全線復旧は2020年3月の予定です。

頑張れ三陸鉄道リアス線!

(写真・記事/住田至朗)


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