春立駅は国道235号線から北に50mほど入った場所にありました。東静内駅から6.1km。国道から駅舎は見えますが、駅名を表示するモノが何も無く、特に駅っぽく見えるという建物でもないので、一瞬、駅か否か迷いそうになりました。少し前の写真を見ると駅舎の柱に縦型の9号駅名標が付けられていましたが、今は撤去された様です。真ん前に立っても駅名を知る手がかりが何もありません。左はコンクリート造りの奇妙に立派な身障者用設備を備えたトイレ。

駅舎を抜けてホームに出ます。夏草が勢力を拡げています。しばらく人の立ち入った気配がしません。

階段でホームに上がります。線路の北側には大きな牧場が広がっています。でも馬は見えないなぁ。

ホームから駅舎を振り返りました。こちらから見ても駅名は何処にもありません。いったいどーなってるんでしょう? 運行休止区間だからでしょうか。

ホームから苫小牧方面。錆びた駅名標があります。ホームが一段低くなって先まで延びています。線路は茂った草に覆われて先が見えません。春立という美しい地名、駅名がもったいない様な気がします。

反対の様似方面。

春立はアイヌ語由来でこの周辺が山菜の宝庫だったことを表しているんだとか。アイヌの人々は狩猟採集で暮らしていて農耕はしなかったのですね。彼等は文字を持たなかったので口承伝承で様々なことを伝えてきたのです。北海道には数多くアイヌ由来の地名が残っています。東北エリアにもアイヌ由来の地名ってけっこうあります。

運転士さんの後方確認用ミラーの辺りから先、夏草が線路に茂っています。

近づいてみるとホームはその先で低くなって更に延びています。様似方面の線路は先の方で辛うじて見えました。

駅名標。1933年(昭和8年)国鉄日高線が静内駅から日高三石駅まで延伸開業したことに伴い開設されました。1977年(昭和52年)までは貨物扱いがあって有人駅でした。列車交換設備を有する相対式ホーム2面2線だった様です。その後時期ははっきりしませんが交換設備が撤去され無人化されました。一時期は車掌車の駅舎時代があった様ですが、2000年(平成12年)に現在の駅舎に改築されています。

駅前。奥に国道235号線が通っています。その向こうはすぐ波打ち際です。

右の青い自動車はレンタカーのMAZDAデミオ。近隣に店舗の類は何もありません。駐車中というか停車中っぽいクルマも有りますから人は活動しているのでしょう。でも相変わらず全く人の姿を見ません。

次の東当別駅は海際を離れ国道から県道796号線で内陸部に入っていきます。

(写真・記事/住田至朗)