巨大地震に耐える家づくり、地盤の微動探査が最重要ツールに

2018.10.11

首都直下地震に南海トラフ巨大地震、近いうちに襲来するであろう巨大地震。それに耐えられる家づくりのポイントは――。

地盤ネットホールディングスは9月26日、名古屋で「地盤から考える、地震に強い家づくりセミナー」を実施。工務店や設計事務所などを対象に、微動探査からの構造設計、微動探査「地震eye」を活用した住宅づくりなどをテーマに解説した。

この日は、地盤ネット総合研究所 戸成卓二取締役、地盤ネット総合研究所 横山芳春博士、M’s構造設計 佐藤実代表取締役、鈴三材木店 鈴木諭代表取締役社長が登壇。「地震に強い家づくりは、地盤から考える」をテーマに、各専門分野の視点から最新情報を伝えた。

家づくりは地盤の探査から

家族や個人で「家を建てる」となった場合、どうしても地面から上の上部構造=建物ばかりに視点がいきがち。

セミナーではまず、「設計事務所や工務店は、もっと地盤から調査・設計していくプロセスをユーザーに伝えていくべき」という。

2016年熊本地震の調査によれば、倒壊などの大きな被害を受けた建築物は、不均質な地盤、表層地盤が軟弱、地盤液状化といった共通の地盤特性があったことが明らかになってきた。

そこで、防災科学技術研究所と地盤ネット、白山工業が産学協同で開発した微動探査システム「地震eye」(写真:オレンジ色の微動計を利用)で、地盤を調査することが重要という。

「微動調査でわかることは、おもに『調査地点の地盤の揺れやすさがわかる』『地盤の卓越周期(建物に大きな影響を与える周期)がわかる』『調査地の地層分布が想定できる』こと。その特徴は、地面を掘削しない非破壊で、無騒音、無振動、短時間(1か所45分程度)測定」(横山博士)

「従来のスウェーデン式サウンディング試験法(SWS試験)と、深層部30mの揺れやすさが測れるこの微動探査システム(地震eye)を組み合わせることで、地盤リスクを見える化。地盤が弱い土地に対しては、しっかりと構造計算を実施し、耐震等級3『命と財産を守るレベル』や、等級3+の家を建てていく」(佐藤代表)

耐震等級3以上を選ぶ重要性

今回のセミナーを主催した鈴三材木店の鈴木社長は、「2016年熊本地震が起きて、友人が営んでいた材木屋や工務店などが、廃業や失業で路頭に迷っていたのを目の当たりにした」と振り返り、こう伝えた。

「地盤から調査、評価して、家屋を建てていくことは、業界の信用を高めることにつながる」(鈴木社長)

また、「クルマはエアバッグが標準装備になったのに、木造住宅の世界はいまだに構造計算せず、コスト優先で耐震等級3をユーザーに説得できないでいる」という佐藤代表は、熊本の被害状況を現地で見つめ続けているなかで、こう説いた。

「あの2016年熊本地震発生後、そのまま住み続けられた家屋のほとんどが、耐震等級3だった。いまは、制度の高い地盤調査と判定、確かな構造計算書、長期優良住宅関係書類といった成果物がしっかり出せることが重要。それはユーザーにとってはもちろん、設計者としての信頼もつながる」(佐藤代表)

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