タブレット端末を見ながら車内放送する名鉄乗務員=イメージ=(画像・アステリア)

鉄道はレールや信号といった多くのインフラに支えられる。そしてもう一つ、〝形を変えたインフラ〟といえるのが規程や帳票に代表される業務上の資料。従来はもっぱら紙ベースだった資料類、社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の流れに沿って電子データ化が進む。

運輸部門全般、中でも実際に列車を走らせる乗務員のDXに力を入れるのが名古屋鉄道。名鉄の現場DXで推進役を務めるのが東京に本社を置くアステリアだ。

アステリアは1998年創業で、スタートアップのはしり。株式を東京証券取引所最上位のプライム市場に上場する。名鉄はアステリアが開発した、文書類の情報基盤、デジタルコンテンツプラットフォームの「Handbook(ハンドブック) X」を採用する。

名鉄は2023年8月から、運転士や車掌がタブレット端末を携行。トータル700ページ超の資料類を電子データ化した。現場レベルのDXでは、乗務員必携の運転時刻カードが電子データ化されて運行障害時の対応力が向上したほか、翻訳アプリでサービス対応力が向上するといった成果が表れる。

電子データと紙資料の違いでは、紙は改訂のたびに差し替えが必要になるほか、乗務員の負担になるといった問題点も指摘される。個別事情では、一部乗務員に個人社用メールアドレスがないため、タブレット端末による電子化が難しいといった課題もあった。

名鉄がハンドブックXを採用したのは、社用メールアドレスを持たない乗務員もアカウント利用が可能になるほか、膨大な規程類や業務資料の電子化で、一元管理できるのが主な理由だ。

ハンドブックXで、約1500人の乗務員に配布していた100万枚以上の紙が削減され、乗務員の携行品軽量化につながった。

もう一つの効能では、現場レベルにDXによる業務効率化意識が浸透。2025年8月から乗務員の選抜メンバーが中心になって、業務改革プロジェクトを立ち上げている。

名鉄は今後、乗務員に年10回程度実施する理解度テストや社内アンケートを通じて、もう一段のDX推進や業務効率化を図る。

記事:上里夏生

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