若者はわりと「アーバンパークライン」と呼ぶらしい
東武野田線は埼玉県の大宮駅と千葉県の船橋駅を結ぶ東武鉄道の路線。
2014年4月1日(火)「東武アーバンパークライン」という路線愛称が導入され、旅客案内上ではこちらの愛称が使用されるようになりました。
しかしこの愛称、あまり浸透しているようには感じられません。記者が仕事でお会いする方も大体は「野田線」と呼んでいます。
一方、インターネットで検索をかけてみると「若い人はわりとアーバンパークラインと呼ぶ」といった意見も見つかります。では実態としてはどうなのでしょう?
アンケートでは75%が「野田線」呼び
東武鉄道は沿線住民およそ390名を対象にインターネット調査を行い「東武アーバンパークライン」の普及具合を調べました。結果、全体で75%の方が「野田線」を使用していることが判明しました。「東武アーバンパークライン」、驚くほど浸透していません。
この調査結果が公開されるやいなや、インターネット上でも「アーバンパークライン」という愛称に対する若干否定的な言及がバズったりするなど、横文字イメージ戦略に対する忌避感の根深さがうかがえます。

ただし20代に限れば「主に東武アーバンパークライン」が23.8%、「どちらかといえば東武アーバンパークライン」が16.3%。合算すれば4割は「アーバン派」です。若者の「野田線」離れはゆるやかに進んでいるようです。
ちなみに「野田線」「アーバンパークライン」を使用する理由としてはどちらも「なじみがある」「親しみがある」が上位にランクインしたのに対し、アーバンパークラインは「かっこいいから」という理由も上位に来ています。
イメージ1位は「田舎っぽい」
東京・埼玉・千葉在住の20代~60代666人を対象とした、東武アーバンパークラインのイメージに関するインターネット調査結果も公表されました。
結果、同路線のイメージ1位は「田舎っぽい」(41.0%)に……2位以下も「庶民的」(35.1%)、「ダサい」(28.8%)「親しみやすい」(28.5%)、「地味」(27.0%)と続いています。

乗降人員は順調に増加中
そんな野田線ですが、東武鉄道が利便性・快適性・速達性が向上するように投資してきた結果、愛称を導入した2014年には920,774人だった沿線の1日の平均乗降人数は2018年には968,003人と、およそ47,000人増加しました。

2020年3月14日(土)にはダイヤ改正も実施。全線での急行列車運転開始や平日終電の大幅な繰り下げ、特急アーバンパークライナーの運転区間拡充などにより、柏~船橋間で定期・定期外利用含め1日約9,000人の輸送人員増を見込んでいます。
「どこに住むか?」という決断はそう何度も迫られるようなものではありませんし、家を買うのだって普通の人は一生に一度あるかないかでしょう。「今は」多少イメージが悪かろうとも住居や路線は実利で選ぶもので、野田線はそういった堅実な層に高く評価されているのかもしれません。
2005年に誕生した「流山おおたかの森」駅周辺エリアや2014年に東武鉄道のまちづくりとして誕生した「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」などを筆頭に沿線開発も進んでおり、実態としては「アーバン」に近づきつつあります。東武鉄道が今後も沿線に投資を続け、若者の移住が続けば、「昔はみんな野田線と呼んでおったのじゃ……」という日も来るかもしれませんね。

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記事:一橋正浩
画像:東武鉄道株式会社