北海道最初の鉄道は、幌内炭鉱から採掘された石炭を輸送する目的で建設されました。明治13(1880)年に着工し、わずか11か月後には手宮~札幌が開通。明治15(1882)年11月13日には幌内まで全通し、開業式典がとりおこなわれました。今回旅をする幌内線廃線跡は、かつての主要路線であり、鉄路を失った現在も「鉄道の街」として息づいています。「北海道の鉄道発祥地 幌内線・鉄道遺産を訪ねる旅」(全4回)を、萱野駅から開始します。

幌内線の歴史

北海道初の鉄道は石炭採掘のために建設された

幌内線は岩見沢~幾春別の本線18.1 kmと、三笠~幌内を結ぶ2.7 kmの貨物支線を有する短い路線です。全線開業は1888(明治21)年12月10日と歴史がある路線でした。長らく石炭輸送を担っていましたが、炭鉱の衰退に伴って客貨とも輸送量が減少。1980年の国鉄再建法施行により1984年に第2次特定地方交通線に指定されました。多くの路線が国鉄時代に廃止される中、幌内線はJR移行まで存続され、1987(昭和62)7月13日 に全線廃止。北海道中央バスに転換されました。

大正2年に地元の要望により開業
駅名標もそのまま

萱野駅は1913(大正2)年9月11日に鉄道院幌内線の駅として開業しました。周辺では早くから農地開墾が進み、1898(明治31)年頃に有志による駅設置運動が始まりました。それを受けて1910(明治43)年に、三笠山村(現・三笠市)が駅開設の陳情を開始。1913年(大正2)年9月11日に念願の駅が開業しました。

駅舎の一部をライダーハウスとして使用

ADVERTISEMENT

幌内線廃止後、荒れ放題だった駅は地元町内会によって修繕され、2000年代初頭からライダーハウスとして利用されています。ライダーハウスは、バイクや自転車、徒歩などで旅をする人向けの簡易宿泊施設で、おもに空き家や倉庫、廃車となった鉄道車両や車などが使用されます。

一泊1,000円で駅に宿泊できる

利用期間は4月末から10月末まで。1泊一人1,000円と安く、シャワー室、洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫、炊飯器を完備しています。寝具は用意されていないので、寝袋などを持参してください。

鉄道の面影を偲ばせるホーム

ホームには連結器に設置された時計がユニークな車掌車がポツンと置かれています。待合室にはサイドボードや駅名標など、幌内線の思い出の品が展示されていました。「ライダーハウス」と名乗っていますが、交通手段に関係なく誰でも利用できるので、廃線めぐりの宿にすると楽しそうです。利用の際は駅前の「とこや さかなし」に連絡してください。

文/写真:吉田匡和

【北海道の鉄道発祥地 幌内線・鉄道遺産を訪ねて (2)】は2020年7月19日(日)10時頃の掲載を予定しています。(鉄道チャンネル編集部)

https://tetsudo-ch.com/10493857.html