沿線自治体が一部区間廃止を容認～留萌本線の旅（４）

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留萌本線は函館本線・深川駅から留萌駅を結ぶ全長50.1kmの路線です。かつては増毛が終着駅でしたが、2016年12月に留萌～増毛66.8kmが廃止されたことでJR九州の筑豊本線（66.1km）を抜いて「JRグループで最も短い本線」になりました。JR北海道は同線全線を「単独での維持が困難な路線」と位置付けており、島田修社長は全線廃止を示唆しています。沿線市町長との話し合いでも一部廃止が合意されており、今後は廃止に向けた動きに拍車がかかる見込みです。第4回目は恵比島駅から石狩沼田駅までを紹介します。

ドラマ「すずらん」のロケ地として知られる　「恵比島駅」

恵比島駅は1910年11月23日に開業しました。駅名はアイヌ語のエピシオマプ「頭（水源）が・浜（の方）に・入っている・もの（川）」に由来しています。かつては単式ホーム・島式ホームの複合型2面2線を有し、列車交換が可能な駅でしたが、現在は1面1線となっています。

本来の駅舎はヨ3500形車掌車改造駅ですが、1999年にNHKで放送されたテレビドラマ「すずらん」の撮影が行われた際に旧駅舎の基礎を利用してセットが組まれ、ロケ終了後も架空の「明日萌駅」として残されています。撮影の際に違和感がないよう本来の駅舎は物置小屋のようにカムフラージュされました。

「すずらん」は大正時代末期の留萌地方の炭鉱街を舞台にしており、炭鉱で発展した町の移り変わりと鉄道の栄枯盛衰をヒロインの一生に照らして描いています。明治時代の恵比島は峠を超えるための交通の要所でした。1930年に留萠鉄道（1971年4月15日廃止）が太刀別駅まで開通し、当駅が分岐駅となるなど重要な役割を果たしていました。ドラマの放送から20年以上経過し、訪れる人も少なく恵比島駅は静かさを取り戻しています。

水田の中の小さな駅　「真布駅」

真布（まっぷ）駅は1956年7月1日に真布仮乗降場として開業しました。駅名は真布川のアイヌ語名、パンケシㇽウトㇽオマㇷ゚（下の・山・の間・にある・もの＋川〕）が前略されたと考えられています。開業当時から無人駅で木製のホームに小さな待合室が設けられています。周囲は水田に囲まれ、遠くに民家が点在するのみ。定時に列車が発着しても利用する乗降客はいません。

米穀商・沼田喜三郎から命名　「石狩沼田駅」

石狩沼田駅は1910年11月23日に「沼田駅」として開業しました。開業当時、この一帯は上北竜村と呼ばれていましたが、当地の開拓に関わった米穀商・沼田喜三郎の所有地に設置されたことにちなみ、「沼田駅」と命名されました。1924年に上越線に同名の駅が開業したため「石狩沼田駅」に改称。1922年に自治体名も沼田に統一されました。

かつては単式ホーム・島式ホーム複合型2面3線を有する列車交換が可能な駅でしたが、1994年12月に交換設備が撤去され、単式ホーム1面1線に変更されています。かつては札沼線（函館本線・桑園～石狩沼田）の終点駅でしたが、1972年6月19日に石狩沼田～新十津川が廃止。同区間には13駅がありましたが 、線路跡は農地整備等の区画整理によって痕跡を留めていません。

沼田町は留萌本線の石狩沼田～深川の存続を希望しており、「まちづくりの視点からみた鉄道を考えるシンポジウム」を開催するなどJR利用促進運動を展開しています。町では「JRに乗り続け隊」を結成しサポーターを募集。シンボルマークを作成するなどPRに力を入れています。

石狩沼田駅から約20㎞離れた「ほろしん温泉」に日本に現存する小型蒸気機関車で最古と言われる「クラウス15号蒸気機関車」が展示されています。クラウス15号は1889年のドイツ製で九州鉄道が購入。その後日本国有鉄道、東京横浜電鉄に譲渡され、1931年に留萠鉄道 （沼田町）で石炭運搬等に使用されました。最期は明治昭和鉱業所（沼田町）の貨物専用線で石炭貨車運搬用として活躍。1967年12月に76年間に及ぶ現役生活を退きました。

沼田町社会福祉協議会の赤い羽根共同募金に500円を寄付すると、クラウス15号ピンバッジが贈呈されます。また沼田町観光協会ではクラウス15号Tシャツも販売。現地でなければ入手できないレアなグッズを手に入れてみてはいかがでしょうか。

文／写真：吉田匡和

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