ビル管理法に基づく空気環境の基準 画像は国際観光施設協会の資料から

新型コロナの拡大防止に有効な換気をめぐっては、鉄道総研が列車内の換気方法や効果を検証しているが、駅舎や現場事務所の換気については、国際観光施設協会が建築物を対象に換気の方法と感染リスクの関係をまとめている。

厚生労働省や空気調和衛生工学会の情報を基に、不特定多数の人が利用する建築物の換気方法を考察した。感染性飛まつと飛まつ核の空気中濃度を薄めて、リスクを低下させるのが換気の基本。厚労省は、駅などを含む商業施設やオフィスについて「ビル管理法(通称)に基づく空気環境の調整基準に適合していれば、必要換気量を満たし、換気の悪い空間には該当しない」とする。

必要換気量とは、1人当たり毎時30立米の空気の入れ替え。具体的には30分に1回程度、窓を開放して自然換気すれば換気の悪い空間に該当しないとのこと。

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オフィス用のエアコンやパッケージエアコンは、空気を循環させるだけで外気を取り込まないため、エアコンとは別に換気システムを稼動させたり、窓開けの必要がある。エアコンは、冷暖房効果を維持するため一般に外気導入量を絞って運転されるが、可能な限り外気量を増やせばリスク軽減に有効だ。

さらに、換気の悪い密閉空間への滞在はリスク要因の一つ。滞在時間を必要最小限にとどめる対策も必要になる。

国際観光施設協会はホテル・旅館や観光施設の設計・施工業者、コンサルタントを中心とする公益社団法人。鉄道分野では、JR東日本建築設計(JRE設計)などが正会員に名を連ねる。

文:上里夏生