JR九州とグルーヴノーツは、量子コンピュータ等の最新技術を活用した「鉄道車両の運用最適化」検証プロジェクトを開始した。持続的なモビリティサービスの実現にむけた取り組みのひとつ。

鉄道車両の運用は、その基本となるダイヤ(列車運行計画)にもとづいて計画を策定。そのさい車両の編成組み替えや検査・清掃作業などの時間的、場所的な制約を踏まえて、熟練者が経験によって鉄道車両の編成や割り当てを決めていた。

今回のプロジェクトでは、グルーヴノーツが提供するクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS」(マゼランブロックス)を活用し、量子コンピュータや AI などの先端技術や高度な数理モデルなどを使った車両最適化のシミュレーションモデルを構築し、実用化をめざす。

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JR九州では、新型コロナウイルス感染症の長期化により、鉄道事業の抜本的なコスト削減が急務に。

クラウドコンピューティングや量子コンピュータを活用し、鉄道車両の運用計画を最適化・自動化することで、車両の保有数を削減できれば車両の維持コストや将来の老朽取り替えにかかる設備投資を抑制できる。

今回の検証は、福北ゆたか線と若松線をおもに走行する車両を対象に実施。

また、本プロジェクトを通じて得た結果をもとに、他路線への適用拡大や、旅客の需要予測等のプロジェクトも共同ですすめる構え。

量子アニーリングを活かしたグルーヴノーツのアプリ「MAGELLAN BLOCKS」とは

量子コンピューティング技術のなかで、量子アニーリングといわれる計算技術は、物理法則の原理を利用し、 膨大な選択肢から、制約条件を満たし、ベストな選択肢を探索する「組合せ最適化問題」を高速・高精度に導き出すのに長けた新技術。

グルーヴノーツは、先進のテクノロジー発想と高い技術力をもとに、量子アニーリング技術を活用して業務上のさまざまな組み合せ最適化問題を解くモデル(イジングモデル)や、アプリケーションを独自に開発。「MAGELLAN BLOCKS」として提供している。

MAGELLAN BLOCKS の活用で、最⼩コストとなるスケジューリングやプロセスの作成、最⼤利益を⽣み出す経営戦略の立案、渋滞回避・最短経路となる交通・物流計画など、企業や街が抱える組合せ最適化の実問題を解くことに成功している。