東京メトロと上野グリーンソリューションズは、鉄道業界で初めてデプスカメラと人工知能(AI)を用いた列車混雑計測システムを開発。

東京メトロ全線の複数駅(各路線各方面数箇所程度)に同システムを設置し、列車混雑状況のリアルタイム提供をめざす。

デプスカメラとは、奥行きの情報を取得する深度センサーを内蔵したカメラのこと。

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同システムは、このデプスカメラをホーム端に設置し、駅を出発する列車内の混雑状況を撮影。撮影した映像からエッジサーバで深度情報をテキストデータ化し、クラウドサーバへ送信する。エッジサーバやクラウドサーバの構成もシンプルかつ解析速度も速く高精度という。

クラウド上では、機械学習した人工知能(AI)で分析・解析させることで、列車が駅を発車してから十数秒で、列車内の混雑状況を号車ごとに算出できる。AIはこれまで人力で測定していた混雑率と同等以上の信頼性で、営業時間中の全時間帯を計測できる。

同社は今後、稼働準備が整った駅から順次計測を開始。東京メトロ全線で2021年度をめどにリアルタイムの列車混雑状況を提供できるよう取り組んでいく構え。

同システムの一部は、ソフトウェア開発を委託したサイバーコアと共同で特許を出願している。

東京メトロはこれまで、列車内の混雑状況について、車重や改札利用者数から時間帯ごとの混雑状況を推計し提供。複数路線で相互直通運転する同社線では、他社車両の車重の取得や号車ごとにリアルタイムで混雑状況を提供することは難しい状況だった。

今回のデプスカメラと人工知能による列車混雑計測システム導入は、丸ノ内線新宿駅での実証実験(2020年11月~)で技術検証が完了したことから本格導入へと踏み切ったかたち。

(画像:東京メトロ)