1987年4月の国鉄改革から間もなく34年になるが、旧国鉄の借金に当たる長期債務は依然として16兆円余が残る。国土交通省がこのほど公表した、令和元年度の「国鉄債務処理に関する報告」で明らかになった。

国鉄の鉄道事業をJRグループ7社に引き継ぐとともに、長期債務を国鉄清算事業団に移して旧国鉄用地の売却益などで償還(返済)するのが、国鉄改革の基本的なスキーム。清算事業団は1998年に解散し、債務を国(実際は鉄道建設・運輸施設整備支援機構〈JRTT〉)が引き継いだ、その後の債務処理状況は、国交省が年度ごとに集計・公表する。

令和元年度末の債務額は16兆3000億円で、同年度1年間で5000億円減少した。清算事業団解散時の債務額は24兆円で、国への引き継ぎ後の21年間でほぼ3分の2に減少した。

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事業団の解散でJRTTが引き継いだ、旧国鉄用地などの資産売却業務は平成30年度末に完了。政府は、たばこ特別税収や一般会計国債費を中心に支払いに充当している。

JRTTの特例業務では令和元年度、JR北海道、JR四国への特別債券利子90億円の支払いに加え、JR北海道、JR四国、JR貨物の3社への支援策として、無利子貸付けや助成金457億円を交付(支出)した。さらに、貨物調整金として131億円を支出している。国の支援は本来なら令和2年度末で終了するが、国交省は最長10年間の延長を決めた。

文:上里夏生