――運命を変えるとはどういうことか。

グローバルスキンケアブランドSK-IIは3月29日、SK-II STUDIO1作目として、競泳・池江璃花子選手の競技復帰までのストーリーを描いた映像作品“センターレーン”を公開した。

ブランドテーマ「#CHANGEDESTINY~運命を、変えよう。」のもと、池江選手が競技復帰を目指す軌跡や、運命は自らの選択によって切り拓けるものであることを伝える。「SK-Ⅱ」とのコラボレーション/パートナーシップのもと実施された企画。

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作品を手掛けたのは映画監督 是枝裕和氏。作品のタイトル“センターレーン”は、プールのセンターレーンに最も速い選手を配置するという実際の競泳のルールがあり、池江選手が練習を再開したころの取材で「やっぱりセンターレーンが好き。自分のためのコース」と語ったことから。

競技復帰を目指して練習に励む池江選手の心の中にある思いや葛藤、希望に光を当てる。また是枝監督は、実写では描き切れない部分にアニメーションを取り入れることでより豊かな表現を目指したという。

競泳・池江璃花子選手の軌跡

競泳・池江璃花子選手は、2018年アジア選手権のMVP。東京2020オリンピックのメダル候補だったが、2019年2月、白血病と診断された。

2020年5月、池江選手は競技復帰に向けて前進する中、SK-IIとのコラボレーションを通して、ウィッグを外したありのままの姿を公表し、新たな一面を世の中に公表した。その強さと希望に溢れたメッセージは、ソーシャルメディアやトップニュースで取り上げられたほか、28年ぶりに女性アスリートが単独で新聞の一面を飾るなど歴史に残る大きな話題となり、日本中から励ましと応援の声が殺到した。

2021年2月に行われたジャパンオープンでは、50メートル自由形で2位に入賞するなど、池江選手は驚異的な復帰を果たす。4月には日本選手権水泳競技大会にも出場する予定だ。

池江璃花子選手へのインタビュー

――運命を切り拓いてきた池江さん自身の軌跡を通して世の中に伝えたい想いは何ですか?

これから自分はどうしたいのか、どうなりたいのかといった希望を持つことで、いつかその夢に近づけると信じています。今が辛くても、いつか明るい未来が待っているのではないかなと思います。

――運命を切り拓くことに躊躇している女性へのアドバイスなどあれば教えてください。

まだ20歳なので私からお伝えできることは多くはありませんが、自分に対して否定的な気持ちを持ちすぎないでほしいと思います。

――白血病が発覚した2年前の自分に今声を掛けるなら、なんと声を掛けてあげたいですか?

「2年後のあなたは笑っています。」と伝えてあげたいです。

――日本選手権に臨む想いをお聞かせください。

出場するからには結果は出したいですが、まずは自分の力を発揮できるように頑張りたいです。辛いからもうやめたい、諦めたいと思う時もあるのですが、それを乗り越えたら未来は変わっていく。自分が本当にこうなりたいと思えば、そういう風に運命は変わってくれると思います。

――是枝監督の作り上げた作品を見て、感想をお聞かせください。

本当の自分の感情があの作品に表れているなと思いました。「過去の自分には戻れないけれど、今の自分が自分だから。」ということが伝わってくるなと思います。アニメーションも素敵でした。

――撮影時の印象的なエピソードがあれば教えてください

今まで見たことのないような、映画を撮影しているようなセットに驚きました。そして是枝監督が穏やかな方でしたから、私の話をしたい、もっと私のことを分かってもらいたいと思って撮影に臨んでいました。とても楽しい撮影だったなと思います。

――是枝監督と対面した時の印象(撮影前後で変わった印象など)、撮影を通しての印象を教えてください。

初対面の日から、たくさんお話させて頂いたなと思います。世界的に有名な方なので貫録があると感じました。作品を見て改めて、監督が柔軟な考え方をお持ちの方だと思いました。

――「センターレーンは私のためのレーン」と仰っていますが、このお言葉に込められた想いを改めて教えてください。

白血病になる前の、18歳の頃の私は、いつもセンターレーンで泳いでいました。だからこそ、センターレーンで泳ぎたいと思っていました。センターレーンは私を勝たせてくれるコース。そこで泳ぐことに意味があるのです。

是枝裕和監督へのインタビュー

――本作のタイトル「センターレーン」の名付けについてお聞かせください。

ドキュメンタリーは、撮影前に何を伝えるかを決めるものではなく、取材を通してテーマを見つけていくものです。今回もその形にこだわり、スタッフともその意識を共有して撮影に臨みました。インタビューの中で、(池江選手から)「センターレーンは自分のためのコースだ」という一言が出た時に、「これだな」とピンと来ました。どんな競技でも、こういうことを言える選手はなかなかいないと思います。「真ん中が私の場所だ」と言えるのはかっこいい。それを言い切れて、そこに向かってトレーニングしていくというのはなかなかできない。そのかっこ良さをきちんと伝えたいと思いました。

――今回、SK-II STUDIOにて池江選手のドキュメンタリー作品を制作された経緯を教えてください。

スタートはこういう企画があるんだけれども興味がないかという話しを知り合いのプロデューサーから頂きました。池江さんのことは存じ上げていました。ただ、運命のいたずらで、彼女が病に侵されて(競技の)レールから外れた時期だったので、そういうところで彼女が水泳というものと向き合っている、もう一度原点に立ち返って向き合っている姿にカメラを向けるというのは、作り手としてはとても惹かれました。ご本人の性格や人格などは存じ上げていなかったですが、そこには興味を惹かれたので、参加する決意をしました。

――初めて池江選手にお会いされた時の印象を教えてください。

10代とは思えないほど落ち着いている方で、大人だなというのが第一印象でした。人の話をよく聞く方、「話したい話したい」ではなくちゃんと聞く方でした。そのあたりにもとても共感を持ちました。

――池江選手の運命を切り拓く姿から感じたことを教えてください。

病を背負ったことを受け入れるしか無かったと思いますし、受け入れるにも相当葛藤があったと思います。ただ、僕らの前ではそれは終わったものとして、本当に前向きな姿を見せてくれました。そこに無理が合ったり、痛々しさが全くなかった。それが彼女の魅力。自然にあの前向きな姿が人前で出せるというのは、稀有な存在だなと撮影していて感じました。

――この作品を通して表現したかったメッセージや想い、目指していたものを教えてください。

撮る側としては、言いたいことや想いが大事ではなく、答えを持っていなくても、問いが大事。彼女はなぜこんなに元気なのか、何に向かって泳いでいるのか。問いを正しく持てていればいい。彼女を見ながら正しい問いを見つける、それが大事。残りの半分は見た人の受け取り方に委ねる。

――なぜ今回の作品、そして池江選手の姿が、人々の共感を呼ぶと思われますか。

私たちが正直に彼女と向き合い、彼女もカメラに心を開いてくれました。そういった作品が結果的に見た人が自分自身の生活や人生などを重ね合わせながら、彼女の向こう側に見ていけるもの、常々作りながら考えています。今回の作品がそういうものになっていれば彼女のおかげです。信頼して向き合ってくれたからだと思います。

――企業やブランドが社会課題に対して取り組みを行っていくことに対してどう思いますか。

企業が良い商品を売ることが大切であるように、映画監督も面白い映画を作る・届けるというのが中心の職業です。私自身は、私は作品を作るだけでなく、きちんと社会参加していく、発言していく立場を担わなければならないと考えています。企業もモノを売るだけでなく、社会意識を持ち、連携していくことは、これから企業として絶対必要なことだと思っています。なので、(SK-II STUDIOのような)こういう取組みに関しては大賛成。共感できることには手を繋いでいこうと思います。

1再生につき1ドルを拠出

SK-II STUDIOは同社のグローバル映画スタジオ部門。動画とストーリーテリングの力を通じて、女性が抱える様々なプレッシャーを取りはらうことを目的とする動画作品を制作する。

SK-II STUDIO の立ち上げに伴い、 #CHANGEDESTINY資金 が準備された。本年の拠出額50万ドルを上限として、SK-II STUDIOの映像1再生につき1ドルを、運命を変えようと踏み出す女性への様々な支援活動に拠出する。

グローバルSK-II 最高責任者(CEO)サンディープ・セスは次のように述べる。

「#CHANGEDESTINYはSK-IIの信念であり、SK-IIの全ての活動の核となっています。私たちは今もなお未曾有の状況下にあり、お客様は企業やブランドが、コミュニティ、社会、環境に対してどのようにポジティブな変化を生み出していくかに期待を寄せています。私たちには希望や共感を共有するだけでなく、今すぐ行動を起こす社会的責任があります。#CHANGEDESTINYの信念のもと、東京2020オリンピックのワールドワイドパートナーとしてオリンピックの精神に則りながら、今年様々な取り組みを通じて、女性が自らの手で運命を掴み、自らに課せられた限界を乗り越えていけるように支援していきたいと考えています。運命はただの偶然ではなく、自らの選択によって切り拓いていけるのです」