試験を実施した13000系車両

東京メトロは2021年6月24日、三菱電機と共同で鉄道用「同期リラクタンスモーターシステム:SynTRACS」が実際の鉄道車両で運用可能であることを確認したと発表した。

「同期リラクタンスモーター」は、回転子鉄心内の磁気抵抗差によって生じる磁極との相互作用で発生する「リラクタンストルク」で駆動するモーターのこと。従来の誘導モーターと比較して回転子の発熱損失が小さく、効率や質量特性に優れている。

試験搭載したモーター

昨今の環境問題やエネルギー問題への関心の高まりから、省エネ性能の高いリラクタンスモーターには期待が寄せられていたものの、高出力化に難があった。しかしながら東京メトロと三菱電機は、同モーターとそれを制御するインバーターで構成されるシステムで実証試験を行い、世界で初めて営業線で鉄道車両の走行を可能にしたという。

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試験では日比谷線13000系2両(1編成7両中の2両)に同期リラクタンスモーター(Synchronous Reluctance Motor: SynRM)4台とSiC パワーモジュール適用インバーター1台を搭載。2021年3月24日~4月14日にかけて計12夜間の試験走行を行った。

モーターと制御装置の搭載箇所

「同期リラクタンスモーターシステム:SynTRACS」に採用した回転角検出センサーレス制御技術により、すべての試験条件下で安定したモーター制御ができることを確認。また下記検証項目においても問題がないことを確認している。

東京メトロは今後、本格的な運用に向けて、更なる消費電力量評価など長期にわたる評価試験を実施する。

鉄道チャンネル編集部
(画像:東京メトロ)