自転車ごと電車に乗り込む 西武多摩川線で「サイクルトレイン」

2021.06.29

西武多摩川線の車両に自転車を持ち込む様子

西武鉄道は西武多摩川線で7月1日から3ヶ月間「サイクルトレイン」の実証実験を行います。

「サイクルトレイン」とは、鉄道車両に自転車を持ち込めるサービスのこと。サイクリストの方々はJR東日本の「B.B.BASE」のように、自転車を固定できるサイクルラックを備えた列車を想像するかもしれませんが、今回の実験はそうしたサイクリスト向けサービスの可能性を探るものではありません。

どちらかといえば「沿線の利用者が昼間の空いている時間帯に自転車を車内に持ち込み、日々の移動をちょっと楽にしたりサイクリングを気軽に楽しめるようにする」といった、地方私鉄に見られる「サイクルトレイン」を西武多摩川線でもやってみようというものです。

西武鉄道のリリースには「お客様の行動範囲を広げることにより地域交通の利便性を拡充します」「自動車に比べてCO2の排出量が少ない電車と自転車を組み合わせることで、SDGsの取り組みとして自然環境・地球環境に配慮した移動手段の選択肢を提供します」といった言葉が並びますが、西武多摩川線という独立した路線で実証実験を行うことで、たとえば「行きは多摩川沿いをサイクリングで、帰りは自転車ごと電車に乗って」といった使い方も出てくるかもしれない。そうした可能性を利用者とともに探っていきたい思いもあるようです。

持ち込みには追加料金不要、サイズ制限あり

実証実験の期間は2021年7月1日~9月30日まで。西武多摩川線で実施しますが、「多磨駅」での乗降はできません(理由は後述します)。利用時間は次の通りです。

<対象列車>
【平日】
上り 是政駅 発 10:09 ~ 15:45
下り 武蔵境駅発 10:06 ~ 15:42
※各駅改札入場は10:00から、改札出場は16:00まで。

【土休日】
上り 是政駅 発 8:09 ~ 17:45
下り 武蔵境駅発 8:06 ~ 17:42
※各駅改札入場は8:00から、改札出場は18:00まで。

持ち込める自転車のサイズは長さ180cm/幅45cm(ハンドル幅は含みません)で、スタンドがついていればOKです。原則として中学生以上が対象で、小学生以下は保護者同伴であれば利用可。持ち込める台数は1人1台まで(1列車につき8台まで)、自転車分の追加料金は不要です。

デモンストレーションが行われた武蔵境駅では、持ち込める自転車のサイズを確認するための赤い枠ができていた。このサイズをオーバーするとエレベーターへ乗り込む際につっかえるなど、支障が生じる

利用の際は自転車を押して改札を通り、案内表示に従ってスロープやエレベータでホームへ向かいます。やってきた車両のドアが開いたら、段差に注意しながら自転車を持ち込み、車内で自転車のスタンドを立て、バンドを自転車に巻き付けて固定します。あとは万が一の急ブレーキなどに備え、自転車が転倒しないよう支えておくだけです。

自転車を押して改札を通過。サイクルトレインは乗車券だけで利用できる
床に貼られた表示の通り進む。武蔵境駅の場合、エレベーターでホームへ向かう
車内ではバンドで自転車を固定
武蔵境駅方の1号車 車内の様子
自転車持込可能車両には、車内外に「サイクルトレイン」の表示がある

混雑する日は事前に休止の告知も

西武多摩川線と言えば多磨駅のそばに東京外国語大学があり、入試などのイベント時には混雑する恐れがあります。記者も2年ほど前に西武多摩川線を訪れたことがありますが、昼間の時間帯であったにもかかわらず多磨駅だけ妙に込んでいて、学生の活気を肌で感じたものでした。

そういった混雑時はさすがにサイクルトレインを運行するわけにもいきません。予め運用を休止する日や時間が決定している場合は、西武鉄道Webサイト「西武多摩川線サイクルトレインご利用案内」や西武多摩川線各駅にお知らせを掲示するとのことでした。

多磨駅で乗降できない理由は――将来的には可能に?

多磨駅周辺は西口駅前広場の整備をはじめ、大規模商業施設の開業が計画されており、駅利用者の大幅な増加が見込まれています。また東京オリパラに向けて駅の利便性を向上してく必要もあり、府中市と西武鉄道は数年前から駅舎の橋上化や鉄道施設の改良等の工事を行っていました。

自由通路と橋上駅舎はすでに完成しており、2020年12月23日に供用開始。現在は今年12月頃の工事完了に向けて撤去工事などが行われているという状況です。

そうした経緯から多磨駅は西武鉄道の駅舎が府中市の自由通路に接続する構造になっており、その自由通路に自転車が入れません。今回の実証実験で多磨駅が除外されているのはそのためです。

もちろん利用者からの要望等が多ければ多磨駅でも乗降OKとなる可能性はありますし、そうした需要を測るのも実証実験の役割です。西武鉄道は7月1日より、同社Webサイト上で「サイクルトレイン」に関するアンケートを実施する予定です。

文/写真:一橋正浩

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