実物を使用した書割です【木造駅舎コレクション】060
※2021年4月撮影
トップ画像は、1913年(大正2年)に建造された元JR上熊本二代目駅舎。鹿児島本線上熊本駅横にある熊本市電上熊本停留場の上屋として移設されています。市電停留場は、4車線の熊本県道31号線「わが輩通り」に面しているのでとにかく交通の往来が途切れません。
上熊本駅は、2015年(平成27年)高架化などで水戸岡鋭治さんデザインの新しい駅舎になっています。筆者は熊本電鉄や熊本市電に乗るために何度も上熊本駅を訪れましたが、ホームの床がウッドデッキでなかなかシックな駅です。
※2021年4月撮影
旧・上熊本駅舎は道路側の正面ファサードと屋根が2006年(平成18年)に移設されました。
※2021年4月撮影
実際は熊本市電上熊本停留場の3面2線のホーム上屋になっています。奥は市電の上熊本車両基地になっています。
※2021年4月撮影
移設された旧・上熊本駅舎、屋根は鉄骨構造で支えられていますが、旧・駅舎の窓や壁材は活かされています。木製ベンチもアクセントになっています。
※2021年4月撮影
車両基地側から終端部を見ています。1番線の上には上屋はありません。
※2021年4月撮影
旧・駅舎の現役時代の姿を見ていませんが、この扉は元の中央出入口だったのかな。
※2021年4月撮影
県道側から旧・駅舎を見ています。とにかく交通量が多いので信号のタイミングなどで最も自動車の少ない瞬間を狙った結果です。
※2021年4月撮影
建物全体が保存できれば、それにこしたことはありませんが、外観だけでもこの様に残されているのはありがたいことです。
※2021年4月撮影
この角度からは流石にちょっと「書割」っぽいですね。
※2021年4月撮影
写真を撮った県道の反対側は小さな公園になっていて、熊本に赴任した若き日の夏目漱石さんの銅像が建っていました。
※2021年4月撮影
1996年(平成8年)に開催された「くまもと漱石博」の際に建立されたものです。横の説明を以下に写します。
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夏目井漱石 (本名:夏目金之助) は、旧制第五高等学校の英語教師として赴任、明治29年4月13日、上熊本駅 (当時池田駅) に降り立った。漱石は、4年3か月を熊本で過ごし、その間結婚や長女の誕生を迎えている。漱石が住んだ熊本には多くの足跡が残されている。漱石来熊百年を記念して、熊本で過ごした若き日の漱石の面影を偲び、いつまでも多くの人々が親しめるよう、ここにモニュメントを設置する。平成8年11月9日 「’96くまもと漱石博」推進百人委員会
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公園には漱石さんの銅像の他、お地蔵さんや石の灯篭もありました。
※2021年4月撮影
では、鹿児島本線、次の木造駅舎に行きましょう。
(写真・文/住田至朗)
※木造駅舎などJR九州さんの許可をいただいて撮影しています。
※駅などについては『JR全線全駅』(弘済出版社/1997)、『週刊朝日百科 JR全駅・全車両基地01-60』(朝日新聞出版/2012-2013)他を参照しています。
※鉄道撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいているものです。ありがとうございます。