フォトコン9月号別冊『みんなの鉄道写真』著者は村上悠太さん――「まず、挑戦してみよう」と思わせるやさしい解説書

2021.08.30

著者の村上悠太さん

日本写真企画から2021年7月29日、『覚えて、撮って、楽しもう!みんなの鉄道写真』が発売されました。世に出てからひと月経っての紹介となりましたが、取材中に著者の村上さんとお会いする機会があったので紹介用に写真を一枚撮らせていただきました。

鉄道写真はどうにも難しい印象があります。たとえば車両の頭からお尻まで全て画面内に収める「編成写真」――細かい撮影のコツがずらっと並んだ解説画像をSNSで拝見すると尻込みしてしまったりもするものですが、本書はそういった入門者をアシストして「まず、チャレンジしてみよう」という気にさせてくれる一冊です。

まずは基本的なカメラの使い方から。第1章「鉄道写真の基礎テクニックとポイント」では、実例も込みで「露出」「シャッター速度」「ホワイトバランス」などの基礎が押さえられています。筆者(本記事の執筆者)もカメラを持って間もない頃はこうした様々な項目をどう調整すれば綺麗な写真が撮れるのか分からず四苦八苦したもので、当時この本を読んでいればスムーズに写真の世界に入って行けたような気がする、というのが率直な感想です。LEDの文字を綺麗に写す方法、夜間撮影時のAWBの使い方といった躓きやすいポイントにも丁寧にフォローが入っているのは初心者目線ではありがたいところ。

基本をマスターした後の「テーマ」と「視点」についてもページを割かれており、自分なりの鉄道写真へのアプローチを考えるための事例が紹介されています。四季の情景や人々の生活、鉄道家族スナップなど、テーマや視点を変えることで鉄道写真もこう変わる、こう撮れるという作例は、鉄道写真を撮り続けてマンネリ感を覚えてきた頃に読むと、現状打破の一手となるかもしれません。

昨今話題になりがちな撮影時のマナーについては、「やっぱり気持ち良い『挨拶』はとっても大事。大切な思い出、場所、人が増えていくことはかけがえのない宝物」など、コミュニケーションの重要性がしっかり記されています。村上さんは撮影時に周りを「楽しく」巻き込んで幸せな気持ちにさせるのが上手く、人見知りな筆者としては、抜きんでた撮影技術のみならず、撮影そのものをスムーズに進めるコミュ力・立ち回りを備えていてこそのプロなのだと、現場でお会いする度に強く感じるのです。そうした意味でも、本書は鉄道写真の入門書ともいうべき本、鉄道写真撮影を始める前に知っておきたいエッセンスが詰まった一冊と言えるでしょう。

文/写真:一橋正浩


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