京王電鉄から、2025年度の設備投資計画が発表されました。

2025年5月12日に公表した『京王グループ中期経営計画「HIRAKU2030(2025年度~2030年度)」』に基づき、総額で434億円の設備投資が行われます。
日本一安全でサービスの良い持続可能な鉄道の実現を目指し、連続立体交差事業をはじめ、ホーム安全対策、大規模災害への備え、自動運転(ワンマン)化に向けた自動運転設備の導入・改修、バリアフリー設備の整備などが行われます。さらに環境に配慮し、AI等のデジタル技術を活用しながら、安全性や利便性向上も図る取り組みが実施されます。
ここでは、実施される主な取り組みの一部を紹介しましょう。(旅行・観光の情報や、鉄道ニュースをお届け! 鉄道チャンネル )

ホームドア全駅整備に向けたホーム安全対策

井の頭線は2020年代中頃(~2027年度)、京王線は2030年代前半にホームドアの全駅整備が行われます。車両の段差・隙間を縮小する整備をすることにより、ホームと転落や列車との接触事故を未然に防ぎます。

2025年度は、駒場東大前駅や永福町駅(1・3番線)、浜田山駅、高井戸駅などでの整備が進みます。

2025年5月時点の整備スケジュール

京王線「笹塚駅~仙川駅間」連続立体交差事業の推進

京王線「笹塚駅~仙川駅間」連続立体交差事業は、事業主体である東京都および世田谷区・渋谷区・杉並区とともに実施され、2030年度末(2031年3月)の完成を目指しています。
この事業が完了すると、笹塚駅から仙川駅間の約7.2kmが高架化され、25カ所の踏切が廃止。これにより、道路と鉄道それぞれの安全性が向上するほか、交通渋滞の解消や鉄道によって分断されていた地域の一体化が図られます。

事業区間(平面図)イメージ

駅改良および開発プロジェクト

京王線「新宿駅」「摩川駅」の改良工事が行われます。

新宿駅では地下2階ホームが、東京メトロ丸ノ内線側へ延伸と改札口が新設。これにより、地下2階のホーム階から東京メトロ丸ノ内線へ乗り換え可能な動線等が整備され、新宿駅西口地下広場における乗り換え時間が短縮されるます。

2031年度の工事完了に向け、2025年度は既設躯体の解体工事等が始まります。

延伸部(イメージ)

多摩川駅においても駅前周辺の開発事業に合わせ、エレベーター大型化や旅客トイレ改修のほか、ホームドア整備やホームと車両床面の段差隙間の縮小など、バリアフリー機能が強化されます。

2026年度の供用開始に向けて、2025年度はホームドア整備や駅事務室の改修等が進みます。

新たな案内システムの導入

駅におけるAIアバターや、遠隔による案内システムの導入等が検討されています。

新型車両「2000系」の導入と既存車両「9000系」のリニューアル

新型通勤車両「2000系」が2025年に2編成導入されます。5号車には、京王電鉄初となる大型フリースペース(仮称)が設置されます。

また省エネ面では、最新の省エネ半導体(フルSiC素子)を用いた新型のVVVFインバータ制御装置の導入により、約70%の消費電力が削減されます。

通勤車両「9000系」のリニューアルでは、利用者の様々な移動ニーズに対応できるよう、すべての車両にフリースペースを設置。全体の色調を落ち着いた色に統一し、2025年に2編成がリニューアルされます。

省エネ面では、最新の省エネ半導体(フルSiC素子)を用いた新型のVVVFインバータ制御装置やSIV装置(車両用補助電源装置)の更新により、さらに消費電力が削減されます。

(画像:京王電鉄、写真 京王9000系:スポッティー / PIXTA)

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