西日本鉄道(西鉄)は、第15次中期経営計画を2022年度まで1年延長し、再生計画を織り込んだ“修正”第15次中期経営計画に取り組んでいく。

西鉄グループは、新型コロナウイルスの影響で2020年度の連結事業利益は132億円の赤字に。2021年度実績予想は42億円の黒字、修正中計2022年度は130億円の黒字を見込む。

また、鉄道事業(定期外収入)やバス事業(定期外収入)が、2021年3月時点でコロナ前の7割まで業績が回復。ことし春に実施した鉄道・バスのnimoca乗車ポイント廃止や、都心エリアバス100円運賃を150円に値上げしたことなどが功を奏したかたち。

2020年度は物流・不動産が運輸事業を上回る

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西鉄グループは鉄道・バス・タクシー、ホテル・旅行・レジャーなどの事業が落ち込むなか、国際物流やマンションなどの不動産事業が好調で、業績を維持。

2020年度の連結営業収益を事業別にみると、運輸事業が16%、ホテル・レジャー事業が6%だったのに対し、物流事業が30%、流通事業が20%、不動産事業が18%と、鉄道・バス・タクシーの運輸事業を上回る結果に。

my route を佐賀・由布院へ拡大

11月22日に東京・日本橋で行われた西鉄グループ事業戦略説明会には、西日本鉄道 田川真司 常務執行役員(天神開発本部長・福ビル街区開発部長)、西鉄グループ 林田浩一代表(西日本鉄道 代表取締役社長執行役員)が登壇。

今後も「持続可能な交通ネットワークの構築」「観光復活への取り組み」「持続可能で活力あるまちづくり」を推進していくという。

とくに、西鉄・トヨタ・JR九州で取り組むMaaS事業、マルチモーダルモビリティサービス「my route」を「今後の持続可能な交通・まちづくりの実現にカギになる」とし、2022年には佐賀・由布院(大分)へも拡大させるという。

2022年1月に三重県桑名市でAIオンデマンドバス「のるーと」実証運行

また、西鉄と三菱商事によるAI活用型オンデマンドバス「のるーと」を、全国規模でソリューション展開し、2022年1月には三重県桑名市で実証運行を開始。東海地方に初めて「のるーと」が入り込むかたち。

さらに鉄道分野では、西鉄 地域を味わう旅列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」を軸にした地元企業とのタイアップや、車内に自転車を積み込めるサイクルトレインの拡充なども視野に入れ、事業収益向上を図っていくという。

※2021年11月24日20時11分追記……「my route」の拡大に関する記述を一部修正いたしました。(鉄道チャンネル編集部)