「デラックスロマンスカー」スペーシアの編成全景(写真:東武鉄道)

1960年から1991年まで、東京(浅草)と栃木県日光(東武日光)を結ぶ特急電車として一世を風びした、東武鉄道の1720系「デラックスロマンスカー」が30年ぶりに復活します。

東武鉄道は、日光・鬼怒川線の特急100系「スペーシア」のうち1編成(6両)を、デラックスロマンスカーと同じカラーに塗り替え、きょう2021年12月5日から「デラックスロマンスカーカラー」スペーシアとして運行します。2021年12月3日には、埼玉県春日部市の南栗橋車両管区春日部支所で報道関係者にお披露目されました。

中間車のうち3両には下枠交差形のパンタグラフがつきます(写真:東武鉄道)
デラックスロマンスカー全盛時をほうふつさせる「特急『けごん』東武日光」の行き先表示(写真:東武鉄道)
正面から見ると、精かんさが際立ちます。細かい点では、運転席のガラスを押さえるゴム枠の色が変更されています(写真:東武鉄道)

東武のフラッグシップトレイン第一号

1720系「デラックスロマンスカー」。ボンネットタイプで、ライトが縦型というのが今の特急用車両との違い。現代でも十分に通用するデザインに思えます(写真:東武鉄道)

デラックスロマンスカーは、〝東武初の看板列車〟といった位置づけで、一般列車とは完全に車両を分け、国際観光地・日光に向かう列車らしく、車内には飲料などを提供するビュフェが設けられました。

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フリースペースに置かれたのはジュークボックス、といっても今の若い方はご存じないかも。お金を入れると、ドーナツ盤(レコードです)が自動で回り、1曲聞けました。

前面デザインは当時流行のボンネット型で、外装はベージュの車体に赤茶色の帯。2年前の1958年、東京―大阪間の特急「こだま」としてデビューした、国鉄の151系電車とともに、新時代の鉄道車両を強く印象づけ、昭和を代表する鉄道車両として今に語り継がれます。

2021年にデビュー30周年

デラックスロマンスカーの後を受け継いだのが、2代目フラッグシップトレインの100系「スペーシア」。東武は2021年、スペーシアと、もう一つの伊勢崎線特急・200型「りょうもう」が、そろってデビュー30周年を迎えたのを記念して、「特急リバイバルカラー車両」を企画しました。

2021年6月に登場した「デビューカラーリング」スペーシア(写真:鉄道チャンネル編集部)

第1弾の100系「デビューカラーリング」スペーシアは、登場時のジャスミンホワイト基調、窓回りサニーコーラルオレンジの塗り分けで2021年6月に登場。第2弾の200型「1800系カラーリング」は、かつての伊勢崎線急行1800系を模したローズレッドに白帯のカラーリングで、2021年8月から営業運転されています。

そして続く第3弾が、100系「デラックスロマンスカー」スペーシア。今回のスペーシアとデラックスロマンスカーを比べると、基本の塗色は同じですが、前頭部は形状が違うこともあって、スペーシアは従来の100系に塗り分けをそろえています。

「新しいスペーシアファンを増やす」

「デラックスロマンスカー」スペーシアの狙いについて、東武鉄道広報部は「一般のお客さまは列車を外装色でイメージする方も多く、新カラーはスペーシアをフレッシュに印象づけるのでは。デラックスロマンスカーに乗車経験のあるベテラン皆さんは、家庭や職場で話題にしてほしい」と期待します。

100系スペーシアは、2011年からのリニューアルで、江戸紫色の「雅(みやび)編成」、2015年の日光東照宮四百年式年大祭にあわせた金色ベースの「日光詣スペーシア」、2021年のデビューカラーリングで「サニーコーラルオレンジ編成」も登場。

東武ファン・日光ファンには、デラックスロマンスカーカラーもあわせ、「次は何色の列車に乗れるのか」の楽しみが増えました。

記念乗車券も発売

東武鉄道は、「デラックスロマンスカーカラー」スペーシアの登場を記念して、きょう2021年12月5日から記念乗車券を発売します。券面には、1720系デラックスロマンスカーなどをプリント。購入特典としてスマートフォンのアプリをダウンロードすると、デラックスロマンスカーのスライドショーが見られます。

記事:上里夏生