白を基調にしたバス外観。ボディーには「WOW RIDE」のロゴマークが大きく描かれる(筆者撮影)

さまざまなメディアで話題を呼ぶ新感覚バスツアー「(ワゥライド)」。キャッチフレーズは、「エンターテインメント×テクノロジーで東京の魅力を〝再発見〟」。2022年2月を予定する運行開始を前に、ツアーを主催する旅行会社のKNT-CTホールディングスと傘下のクラブツーリズムが実施した、マスコミ向け試乗会(2021年12月17日実施)に参加した。

バスはドイツのネオプラン製の2階建て車両。窓ガラスは「透過有機ELディスプレイ」で、テレビのように画像を映し出せるほか、透明にすれば外の景色も見られる。ルートはGINZA SIX(旧・松坂屋銀座店)を発着する1時間コースで、日本橋、東京駅、霞ヶ関、お台場、豊洲市場、歌舞伎座などをめぐる。

日本橋で江戸時代の魚屋・一心太助、桜田門で井伊直弼(なおすけ)暗殺の「桜田門外の変」のアニメが流れるなど、車窓を眺める通常のバスツアーとは一味違う演出がこらされる。東京駅では、JR東京駅丸の内駅舎の全長(335メートル)と、東京タワーの高さ(333メートル)がほぼ同じといった、東京のうんちくもふんだんに盛り込まれる。

東京駅前では開業時の同駅と陸蒸気(おかじょうき)のVR画像が映し出される(筆者撮影)

鉄道関連のコンテンツは虎ノ門付近。バスはトンネル掘削のシールドマシンに変身して仮想の地下を進む。芝公園入口からは首都高速道路に入り、レインボーブリッジを渡る。

ガイドは松竹芸能所属の芸人で、台本にアドリブも取り混ぜながら、東京都心のスポットや歴史をユーモアたっぷりに案内する。

WOW RIDEを企画したのは、フジサンケイグループのフジ・メディア・ホールディングスの広告会社・クオラス。映像・アプリ制作のクロマニヨン(企業名)が、現実とAR(拡張現実)やVR(仮想現実)を組み合わせた映像コンテンツを制作した。

クラブツーリズムによるツアー催行日などは、2022年1月に発表される。今回はバスだが、鉄道車両でも同様の手法は可能。「具体的な話はこれからだが、機会があれば鉄道事業者の皆さんとの協業も積極的に考えたい」(クオラスビジネスデザイン局コンテンツ企画部の佐々木和彦担当副部長)と、意欲をみせる。

記事:上里夏生