「アイデア発想から、設計図に起こして、3Dプリンターやレーザーカッターでプロトタイプをつくって、販売担当者にプレゼンする。その一連の流れを体験できた。マーケティングも学べた」

そう話すのは、工学部・農学部・芸術学部・経営学部リベラルアーツ学部・教育学部・文学部・観光学部などをもつ総合大学、玉川大学の学生。

いま玉川大学では、「めっちゃおもしろいビジネス実践トレーニング」という複合領域研究210:工農芸融合価値創出プロジェクトが動き出している。

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この工農芸融合プロジェクトは、学部・学科&授業の枠を飛び越えて、初めて出会う他学科の学生たちとチームを組み、課題解決に向けてアクションを起こす科目・単位(半期単位)。

今回は、「玉川学園購買部で販売できる玉川グッズを提案せよ」というミッションを与えられた履修生たちが、初めて出会う他学科の学生たち4人で開発チームを組み、工学(人工知能・ロボット)、農学(農作物栽培・製造)、芸術(発想・表現)という講義を受け、デザイン・アイデア発想、デザインラフを描き、6回のデザインシンキングを経て、3Dプリンターなどで商品プロトタイプを制作。

最後は、実際に玉川学園購買部「Campus Store Tamagawa」(紀伊國屋書店)担当者たちにプレゼンテーションした。

そこで、プレゼンを終えて履修を完了したばかりの玉川大学生4人に、いろいろな“気づき”を聞いてみた。

「視覚に取り込んで考え出すという手法が衝撃的だった」工学部4年門傳さん

「学部・学科、学年が違う人たちとチームを組んで、ひとつの商品を開発していくプロセスが、楽しかったですね。最初はコミュニケーションに不安があったけど、いっしょに課題に取り組んでいくうちに、自然と打ち解けましたね」

「すごく学べたのは、デザイン学部のアイデア論。アイデアを出すときは、色々アウトプットして、視覚に取り込んで考え出すという手法が衝撃的でした」

「アイデアやデザインで行き詰まったときは、実際に購買部担当者にヒアリングしてみて、来店客層や購買層、売れ筋商品などを聞き出した」

「そうしたマーケティングや商品化を体験できて、将来はクリエイティブや商品開発といった分野で自分のチカラを試したいと想いました」

「研究職に就きたいと思ったけど、営業職もありかな」農学部2年有光さん

「わたしはチームのなかで最年少。玉川学園オリジナルのアクセサリー(ブローチ)の商品化を提案しました。学年や学科の壁を超えて、プロダクト開発に没頭できたのが、いい経験になりました」

「印象的だったのは、1~7回の授業。自分の学科以外の最新トピックスや思考法・手法を学べてよかった。最も印象的で衝撃的だった学びは、工学部の話題。AIや人工知能の話で、人間の脳についての研究トレンドを体感しました」

「また、自分たちが開発したプロダクトを、どう売っていくかといったマーケティング視点でのディスカッション、思考、コミュニケーションも学べたのがうれしいですね」

「わたしは将来、漠然と研究職に就きたいと思っていました。ひとりで研究に没頭するのが向いていると思ったけど、人に出会って、話を聞いたり、そのニーズに応えるような商品をつくったり売ったりするといった、営業職もありかなって思ってきました。人と関わるのが得意ってことも、気づきました」

「ファシリテーションでメンバーの潜在能力を引き出せた」工学部4年庫田さん

「この科目がおもしろかったのは、実際に出てきたアイデアを「ものにできる」ところ。工学部のソフトウェア専門ということで、自分は知らず識らず“工学部思考”なんだなってことに気づかされました」

「わたしたちは、手がベタベタしない『はちみつクラッカー』なる商品を提案しました。チームメンバーは最初、学部・学科の個性が目立ったけど、最終プレゼンのときは、学科というより“その人らしさ”が前面に出てきたので、『自分なら何ができるのか』を考えてプレゼンに挑みました」

「講義では、わたしの工学部の先生たちと違って、農学部と芸術学部の先生は、身振り手振り、大きなアクションで楽しく説明してくれるのが、おもしろかったですね。一般教養とはまったく違う、専門的な話題を楽しく教えてくれたのが貴重な経験になりました」

「また、わたしは“玉川アドベンチャープログラム”を3年間経験し、そこでファシリテーションを学びました。今回、チームのブレストのなかで、このファシリテーション力を活かすことができて、メンバーのより実践的な能力を引き出せたところがよかったなと思います」

「自分だけはたどり着けないアイデアや発想に出会えた」農学部2年高野さん

「ぼくたちのチームは、玉川大学オリジナルの「蜜蝋(みつろう)商品」を提案。大切な人へのプレゼント用アロマ缶型キャンドル『TAMAGAWA MITSUROU CANDLE』、封印を蜜蝋にした『TAMAGAWA MITSUROU レターセット』、そして購買部でハチ関連品を購入した人限定の『TAMAGAWA MITSUROU ギフト袋』を提案しました」

「この科目でおもしろかったのは、他学科の学生と意見を交わし、自分が学んできたことだけはたどり着けないアイデアや発想に出会えたことですね」

「他学科の専門分野の講義がおもしろかったという人が多いなか、ぼくは自分と同じ農学部の講義のなかで、他学科の講義がとても新鮮でした。同じ農学部なのに違う視点や研究があることを知り、農学部がどういう学び場なのかも深く理解できました」

小酒井正和 教授「工農芸融合化学爆発で専門性をさらにアップデート」

玉川大学で動き始めた複合領域研究210:工農芸融合価値創出プロジェクトは、科学(Science)、技術(Technology)、ロボティクス(Robotics)、工学(Engineering)、芸術・人間学(Art)、数学(Mathematics)を融合したものづくり教育「STREAM Style の教育」を具現化した学び場。

学生たちのプレゼンテーションが終わると、玉川学園購買部「Campus Store Tamagawa」(紀伊國屋書店)担当者たちは、「想像をはるかに超えた商品プロトタイプの完成度に驚いた」という。また、実際に商品化まであと一歩という“浜辺”までこぎつけた学生たちは、自らの考え・対話・制作で商品開発という現場を体感し、「将来のビジョンまでも変わってしまった」という学生も……。

―――この玉川大学 工農芸融合プロジェクト全体をコーディネートする小酒井正和 教授は「本来は、この工農芸融合プロジェクトを出発点として、ここで体感した化学爆発を、学生も教授陣も再び自分の学科や専門分野に持ち帰ってもらって、専門性をさらにアップデートしてほしい」と語り、こう伝えた。

「そしてまた、この工農芸融合プロジェクトで新たな化学爆発を体得する。そんなサイクルをつくっていきたい」

「次の工農芸融合プロジェクトテーマは、空間デザインや脳科学などの専門分野の知見を採り入れて、チームワークに新たな刺激を加えたい」(小酒井正和 教授)

◆玉川大学
https://www.tamagawa.jp/

◆玉川大学 工学部
https://www.tamagawa.ac.jp/college_of_engineering/

◆玉川大学 関連記事
https://tetsudo-ch.com/tag/tamagawa

◆玉川大学 工農芸融合価値創出プロジェクト
https://www.stream-style.education/kounougei

◆玉川の教育「複合領域研究210:工農芸融合価値創出プロジェクト」の最終プレゼンテーション開催
https://www.tamagawa.jp/education/report/detail_19942.html