4重立体交差という“隠れた構造美”がここにあり、東海道新幹線でふだんスルーしてしまう鉄道橋にひそむ物語

2022.06.23

東京から新幹線に乗って、ふだん何気なく通り過ぎてしまっている橋梁のひとつに、画像の馬込架道橋がある。

この鉄橋の下を行く道路は、国道1号 第二京浜。こうみると、道路の上を斜めに立体交差するシンプルな鉄道橋にもみえるけど、実は架設当時には斬新な工法で橋を架けた物語がある。

まずはいま望遠で撮影しているこの場所から。ここは、国道1号の直下を行く都営地下鉄 浅草線の終点、西馬込駅付近。

東海道新幹線は1964年東京オリンピック開催前にあわせて同年から走り始めた。いっぽう都営浅草線 泉岳寺〜西馬込駅 6.9km は、1968年に開業したから、新幹線開業後に浅草線の工事が始まったか。

話を東海道新幹線 馬込架道橋に戻すと、この馬込架道橋の工事で注目を集めたのが、その架設方法。

架設当時、国道1号には1日約8万台の自動車が走っていたといわれ、さらに道路の下を東海道支線 品鶴線(横須賀線)が走っていた。

こうした構造から、鉄橋は新横浜方の高架橋上で事前に鉄骨を組み、夜中に国道1号を通行止めにし、その新横浜方で完成した鉄橋を東京方へとゆっくり引き出していく「移動ベント式引き出し工法」という手法で架けられた。

この馬込架道橋、架設工法のほかにも記録的な数字がある。

馬込架道橋は、「単支間複線ローゼ桁で支間長85.2m」と、東海道新幹線の単純支間長としては最長の橋としても記録されている。

そして、都営地下鉄 浅草線がこの下を走るようになると、上から東海道新幹線、国道1号、横須賀線、都営浅草線と、4重立体交差という“隠れた構造美”がここにできあがり、現在に至っている。


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