「鉄道の安全確保には、乗務員の乗務の質の向上が重要であり、そのファクターの1つとして睡眠改善の取り組みがある」―――JR西日本と富士通は4月20日、睡眠状態の記録・可視化や個人に合った睡眠改善のアドバイスを行うシステムを開発・実証したと発表しました。

両社が開発したシステムは、センサーにて自動計測したデータから、乗務員の睡眠状態を可視化・分析し、睡眠改善のアドバイスを行うというもの。まず、就寝時に装着したセンサーで計測した睡眠に関するデータを、専用の端末(NFCリーダ)を接続したパソコンで読み取ります。計測したデータを体動量データに変換し、分析。就床、入眠、睡眠、覚醒、起床といった睡眠状態を表示します。

このデータをもとに、専門家監修による分析アルゴリズムを用いて、計測データを分析。一人ひとりに合った睡眠の質を改善するためのアドバイスが実施できるようになりました。

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こうしたシステムの開発経緯についてJR西日本は、「睡眠に関する教育の充実、環境整備などを中心とした、乗務員の睡眠に対する意識の向上や、改善の取り組みを実施。さらなる取り組みとして、2014年度よりJR西日本と富士通で、より簡便で効果の高い睡眠改善を実現させるツールの導入に向けた検討を進めています」と伝えています。

睡眠時間や睡眠状態の効率的な記録や、一人ひとりに合った効果的にサポートする場合、「睡眠時間や睡眠状態の記録は手間や継続して記録する必要があるうえに、乗務員個人が記録する場合、乗務員の主観に依存している。睡眠改善に対する指導に関して、乗務員一人ひとりに合った効果的なアドバイスが十分ではない」といった課題があったと同社。

また、こうしたシステムの開発をふまえ、「2017年度中に乗務員が所属するすべての職場63か所への導入展開をめざす」とも伝えています。

「JR西日本では、今後も引き続き睡眠改善の取り組みを着実にすすめることで、乗務の質の向上を図り、さらなる安全安定輸送の実現に取り組んでいきます。富士通では、JR西日本での実証実験の結果を活用して、2017年中に本システムの製品化をめざします」