運転再開の日を待つ、いすみ鉄道のいすみ300形気動車=大多喜運輸区=(筆者撮影)

2024年10月の脱線事故以降、大原~上総中野(26.8キロ)の全線で運休が続く千葉県の第三セクター・いすみ鉄道をめぐり、同社は2025年6月2日、「2027年秋を目標に東側の大原~大多喜(15.8キロ)の運転再開を目指す」方針を明らかにした。

千葉県立大多喜高校への通学生など、全体の約7割が利用する大原~大多喜の復旧を優先させる。山間部を走る大多喜~上総中野間は、線路状況の調査などを見極めたうえで、千葉県や関係市町と協議してスケジュールを検討する。

輸送障害は2024年10月4日に発生。国吉~上総中川を走行中の大原発上総中野行き列車(2両編成)で、車輪8軸のうち6軸が脱輪した。会社側は当初、2024年10月内の運転再開を目標としていたが、現地調査でマクラギ腐食が見つかり半年以上経過した現在も全線運休が続く。

いすみ鉄道によると、復旧にかかる費用は約10億円の試算結果で、ほかに代行バスの運行経費約4億5000万円が必要。軌道整備では、現在の木マクラギを原則コンクリートマクラギに交換する。

同社は県や沿線市町に支援を要請。県や大多喜町、いすみ市は早期の復旧を目指す意向を示している。

いすみ鉄道は「運休期間が長期化しご迷惑をおかけしますが、復旧までの間の代行輸送をしっかりと確保しながら、安全対策を徹底するよう引き続き全力を尽くしますので、御理解ください」とする古竹孝一社長のコメントを発表した。

大多喜駅前で待機する代行バス(筆者撮影)

記事:上里夏生

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