西武 旅するレストラン「52席の至福」の最新メニュー

西武 旅するレストラン「52席の至福」は2016年4月から運行を開始した観光電車です。土曜日、日曜日、休日を中心に年間100日程度運転されています。その特徴は何よりも洗練された料理にあります。今回は7月から9月まで提供される料理と運行スケジュールなどが発表され、報道関係者を招いて取材の試乗・試食が実施されました。

ブランチコースとディナーコース、その間に西武秩父駅前温泉「祭りの湯」を体験

今回は3部制の取材で、1部は西武新宿駅から11時過ぎに西武旅するレストラン「52席の至福」に乗車してブランチコースを試食しながら13時半頃に西武秩父駅に到着。ここで一旦終了し、第2部は西武秩父駅前温泉「祭りの湯」で温泉を堪能します。そして第3部が15時過ぎに西武秩父駅から西武旅するレストラン「52席の至福」に乗車してディナーコースを試食しながら上石神井駅車両基地に17時過ぎに到着するというものでした。今回鉄道チャンネルは新人キャスターの柏原美紀(かしはらみき)が第1部を取材、第2部・第3部を写真と記事を担当する住田が取材しました。

では第1部スタート

11時前に西武新宿駅に集合して西武旅するレストラン「52席の至福」に乗車します。「52席の至福」に使用されている西武4000系電車は1988年(昭和63年)に秩父鉄道秩父本線への直通運転用に作られた車両で1編成4両が西武旅するレストラン「52席の至福」用にリメイクされました。写真は途中停車した東吾野駅でのもの。鉄道チャンネル新人キャスターの柏原美紀です。

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車内は4号車(秩父に向かう先頭車両)と2号車がオープンダイニングになっていて我々の試乗した4号車は無垢の杉材を使用して渓流の流れを表した木格子の天井になっています。取材陣は厨房車両に撮影に行っています。右手の女性陣は研修に来た新人さんとのことでした。

3号車は厨房車両になっていてオープンキッチンでは本日のブランチコース用の準備に余念がない様子でした。揺れる車内で繊細な料理のセッティングは見事です。

ブランチコースが始まる前に3号車のオープンダイニングも覗いてみました。こちらには取材陣とは異なる方々が試乗されていたので天井だけ写して来ました。こちらは何と「和紙」を柿渋で染めたものですが、和紙を不燃化加工するなど苦労された様です。でも渋い!

1号車はフリースペースで結婚式などのイベントに利用される場所です。こちらに銘板があったので写してきました。

テーブルにはこの様なサインが置いてあります。

そろそろブランチコースが始まります。まずは前菜がきました。”◆わ♠わ♥わ♣〜感動で彩る三色のオードブル〜”です。右手前がフランス料理の藤尾シェフによる”燻製した帆立貝と焼き茄子のたらし焼き”、秩父の郷土料理「たらし焼き」を藤尾シェフが再構築、竹炭の入った生地の上に秩父味噌で味付けした燻製帆立、茄子をのせ細かく削ったローストクルミがトッピングされています。左手前は中国料理の井上シェフによる”紅油雲白肉〜薄切り豚肉のガーリックソース パクチーサラダ添え”、アスパラガスにのった豚バラを蒸し、わさび菜と夏草花のサラダが添えられています。奥は日本料理の成田シェフによる”すっぽんの冷やし茶碗蒸し”、茶碗蒸しの上に一番出汁で上品に仕上げた汲み上げ湯葉、すっぽんのジュレ、とんぶり、浅葱、花穂がのっています。成田シェフはパリのフレンチ名店で修業した後に和食に転身したというちょっと変わった経歴のシェフです。

柏原キャスターはとにかく嬉しそうに食べます。「美味しい!」しか言わないのは困るよ!(笑)

スープは井上シェフによる”黒松露魚翅〜トリュフとフカヒレの贅沢スープ〜”です。黒松露はトリュフ、魚翅とはフカヒレのことですね。白湯とチキンスープがベースのフカヒレスープに何とトリュフという意表を突いた組み合わせ、漆黒のスープの上には金箔が夜空に咲く花火の様に飾られています。カトラリーにも「52席の至福」のマークがはいっています。

ふたをとった瞬間にトリュフの香りが広がります。

金箔を乗せていただきます。味はフカヒレスープですがトリュフの香りと一緒になると実に不思議で新鮮な美味しさです。

いよいよメインディッシュ。藤尾シェフによる”黒米を詰めた鶉のロースト ハナビラダケとしゃくし菜を添えて”、しっかりと焼き上げられた鶉の中には栄養価の高い黒米が詰められています。独特の食感のハナビラダケをソテーし温泉玉子と一緒に秩父名産のしゃくし菜の漬け物が添えられ複雑で玄妙な味が醸し出されます。

メインディッシュにはふっくらと美味しいパンが付きます。

最初は鶉と黒米を食べて、それにハナビラダケのソテーや温泉玉子、しゃくし菜を組み合わせて味の微妙な変化が楽しめます。

そして最後に成田シェフによるデザート”ほうじ茶と白桃のパフェ”、これがまたまたスゴイ!桃の嶺岡豆腐(江戸時代から伝わる伝統料理、牛乳を葛粉で固めてあります)の上にアマレットで香りを付けた桃の蜜煮、桃のピューレに何と醤油で作ったみたらしソースがかかり、粒あん、白玉がメインの香りの高いほうじ茶アイスの苦味を引き立てます。

とても複雑で不思議な大人のデザートです。ほうじ茶の大好きな柏原キャスターは大喜び。美味しいものに夢中になっているうちに列車は緑の中を走ってゆきます。御馳走の半分は車窓の景色ですからね。

約1時間半程のブランチコースをしっかり堪能しました。列車は東吾野駅で列車交換のために15分ほど停車しました。この間に乗っていた皆さんはホームで山の空気を深呼吸しました。

初めての東吾野駅、外に出てみました。周囲は山です。

13:24西武秩父駅に到着。梅雨の晴れ間の晴天です!

さて、ここから2部3部と続きますが長くなるので一旦終了します。「旅するレストラン「52席の至福」7〜9月のメニューを試食 後半 ディナーコース紹介」に続きます。

(写真・記事/住田至朗)