「台風で土砂崩れに遭ったとき、土地の問題はどうなるの?」

「父親の土地を相続する準備って、どうすればいいの?」

こうした漠然とした不安があっても、参考書を読み込む時間もないし、ネット検索してもよくわからないし……。

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そんな悩みを解消へと導いてくれるイベントが年に1度、開催されてるって知ってた?

上の画像は、新宿駅西口。

これ、「あらゆる種類のお悩みを1か所で解決」をキーメッセージにもつ、『暮らしと事業のよろず相談会』。

「なんでも相談して」と受けて待つのは、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士、土地家屋調査士、中小企業診断士、公認会計士、行政書士、弁理士、不動産鑑定士。

別名「東京10士業相談会」の同イベントは、ことしで24回め。10月27日、新宿駅西口広場イベントコーナー地下1階の会場受付には、相談を希望する人たちが待ち構えていた。

今回、この「暮らしと事業のよろず相談会」で注目したのは、土地家屋調査士。

最近、少子高齢化が急速にすすむなか、冒頭のような悩みや不安を抱える世代が増えているんだとか。

そこで、現場で対応していた東京土地家屋調査士会 木下満理事と山田明弘理事に、いろいろ聞いてみた。

<東京土地家屋調査士会>

なにかが起きる前に、所有する土地を把握する

まず、土地家屋調査士とはどんな専門家か。

東京土地家屋調査士会のホームページには、「不動産の表示、土地境界に関する登記の専門家」とある。

「土地家屋調査士は、たとえば『所有する土地を売却したい』とか、『大きな土地の一部に建物を建てたい』『所有する土地すべてに抵当権をつけるのも難しいから、分筆(ひとつの土地を複数の土地に分割し分けること)したい』といった人たちの専門アドバイザー」と教えてくれたのは、木下理事。

「なんらかの事情で、所有している土地を、第三者の知見をもって測量してほしいという人に応える専門家たち」という土地家屋調査士は、どんな依頼があるのか。

「たとえば、今回のイベントではこんな相談者がいた。『台風で高低差がある土地が崩落してたのをニュースで見て、傾斜地にある我が家も同じ崩落などの心配があるので、うちの上や下に土地を持つ所有者とどう対応したらいいのか』と」

また、前出の分筆登記を行う場合は、隣接する土地所有者に立ち会ってもらって、境界が間違いがないかを確認し、承諾のむねを記した書面(筆界確認書(境界確認書・境界の同意書・境界の協定書)・地積測量図など)が要る。

そのとき、分筆登記の専門家として土地家屋調査士が間に立つ。「分筆したい」という人が土地家屋調査士に依頼し、実際に現地に入ったとき、こうしたトラブルが多い。

「もし隣接する土地の所有者と、境界線が違うといった声があった場合、われわれが図面や資料を調査し、知見にもとづいて、第三者の有識者という公平な立場で依頼主にアドバイスしていく。そして隣接する所有者たちも納得するかたちですすめていく」

こうした不安や相談のケースは、高齢者が多いと思いきや、いまや20〜40代の人たちも関心を持っているという。

「たとえば、父母が所有していた土地や家屋をどう相続するかというケース。いざ相続するぞとなった時点で相談にきても、そこから測量や隣接の土地所有者に連絡する準備があって、想定以上に時間がかかるケースが多い」

最後に木下理事は、「実際に相続の場面に直面する前に、時間にゆとりがあるときに、土地の境界をしっかり把握しておくことをすすめている」と伝えていた。
 
 
―――こうした相談会というと、一般的にはひとつの分野の専門家が単独(たとえば弁護士相談会など)で実施するケースが多い。

この「暮らしと事業のよろず相談会」は、毎日の暮らしや事業を営むなかで出てくる相談ごとに、専門士が無料で応じるスタイル。

同イベントの人気の理由は、相談内容にあわせて各種専門家がチームを組み、それぞれの専門知識を生かして合同で相談に応じてくれるところ。もし、いま悩みや相談したいことがあったら、こうしたイベントで専門家に聞いてみるのも、いいかも。

<東京土地家屋調査士会>

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