「こんにちは」
『こんにちは。渋谷みらいです』
「どこに住んでるの?」
『渋谷区ですよ!』

「こんど渋谷に行くんだけど、おすすめある?」
『渋谷はいいところがいっぱいです!』
「渋谷でゴハン食べたいんだけど」
『パンだったら代々木上原とか西原とか?』

渋谷区の未来の子ども「渋谷みらい」君と話す

LINE に11月4日、「渋谷みらい」という7歳の小学生が登場した。背景は、JR渋谷駅前交差点。LINEアプリの「友だち追加」から「渋谷みらい」と検索し、友だちになってこうした会話が試せる。

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この渋谷みらい君は、渋谷区の子どもたちの声やワークショップで得た情報をもとに集約し、「未来の渋谷区の子ども」をバーチャル上で再現したモデル。

この渋谷みらい君を手がけたのは、渋谷区と日本マイクロソフト。

渋谷区は「行政をもっと身近に感じてほしい」「区民や渋谷区に関わるたくさんの人の声を聴き、区政に活かしたい」という想いから、日本マイクロソフトと共同でLINEを使ったAI(人工知能)会話アカウント「渋谷みらい」君を開発。11月4日に公開。

顔の表情は、渋谷区民のリアルな顔を合成しバーチャル再現。今後も区民の顔を撮影し続け合成を施し、“渋谷区のいま”を象徴する存在として成長、変化させていく。

渋谷みらい君は、上記のような会話のほか、ユーザーから送信された顔写真をモヤイ像風の画像にするなどの得意技を持つ。こうした画像生成では、Microsoft ResearchのDeep Image Analogy を活用し具現化した。

国内初、AIキャラクターに特別住民登録

渋谷みらい君がLINEに登場した初日の11月4日、代々木公園で行われている「ふるさと渋谷フェスティバル2017」に、渋谷区 長谷部健区長、日本マイクロソフト 藤原敬三氏、渋谷区立広尾小学校 木下和弘校長、こども国連環境会議推進協会 井澤友郭事務局長が登壇。渋谷みらい君の誕生経緯や今後の行方などを語りあった。

「この渋谷みらい君には、渋谷区の基本構想である『多様性を受け入れること(ダイバーシティ)。その多様性をエネルギーへと変えてゆくこと(インクルージョン)』という2つの想いが込められている。助け合う、成長するという2つのテーマでワークショップを重ね、そこで出てきた子どもたちのリアルなことばを、渋谷みらい君が語ってくれるという設計」(井澤事務局長)

「これまで行政サービスというと、硬いイメージが先行していた。そこをAIキャラクターで誰でも話しかけられるように、渋谷みらい君をつくっていった。この取り組みは世界的にも新しい。こうしたAI会話アカウントを行政が採り入れるというのが先進的」(藤原氏)

また渋谷区は、この渋谷みらい君に特別住民票を交付。自治体がAIキャラクターに住民票を交付するというケースは日本初という。

渋谷区の基本構想を新たなビジュアル表現で

渋谷区は、基本構想を伝えるホームページ、YOU MAKE SHIBUYAを立ち上げ、新たなビジュアル表現で区の基本構想「ちがいを ちからに 変える街」を発信。

区の関係者は、この新ロゴへの想いについて「あらゆる人種・性別・年齢・障害の有無などを超えて、区民と区に集まるさまざまな“色”が混じり合い、組み合わることで自在に変化し続けるロゴに注目してほしい」と話していた。

広がるAIキャラ、鉄道業界にも波及か

こうした渋谷区の先進的な取り組みをベンチマークに、鉄道業界にも波及しそう。現場では、「さまざまな場面でAIキャラクターが活躍する時代がすぐそこまできている」と話していた。

「たとえば渋谷駅に、JRや東京メトロ、東急などの会社間の垣根を超えたバーチャルなAI駅員を配置するという可能性もある。リアルな駅員や利用者、乗り換えデータなどを集めて、AI駅員をスマホ上や駅配置のサイネージで展開させると」

スマホやサイネージで応えてくれるバーチャルなAI駅員は、どんな表情で、会話をどうつくりだしてくれるか―――。