いよいよSFの世界が現実になるのでしょうか!愛知県は、トヨタが開発した次世代EV「e-Palette」(イーパレット)を全国の自治体に先駆けて導入し、2025年11月10日よりJR名古屋駅とスタートアップ拠点「STATION Ai」を結ぶ定期運行を開始しました。JR東海バスが運行を担うこのモビリティは、低床・大開口のユニバーサル設計が特徴。2027年度のレベル4自動運転対応を見据え、平日6便が運行されるこのシャトルは、都心アクセスの改善と同時に、未来の自動運転社会実現に向けた「動く実験装置」としての役割も期待されています。また、豊田市では公用車として「e-Palette」の導入を決めました。この記事では、今後の日本の交通と地域イノベーションのきっかけとなるこの動きに関してお情報をお届けします。

ユニークな車両が持つ多用途性

「e-Palette」(イーパレット)とは、トヨタ自動車が開発した電気自動車(EV)で、低床フロアや大開口スライドドア、電動スロープなどのユニバーサル設計を備えています。誰もが乗り降りしやすく、室内を自由に組み替えられるモジュール構造が特長です。
移動のためのシャトル運行に加え、車内を店舗や展示スペース、イベント会場として活用することもできます。

「e-Palette」の自動運転の性能は?

車両は「VCI(Vehicle Control Interface)」と呼ばれる制御システムに対応し、自動運転キット(ADK)を組み合わせることで機能を拡張できます。現在はレベル2相当の運転支援に対応しており、2027年度にはレベル4に準拠した自動運転車の導入を目指しています。急速充電と普通充電の両方に対応し、非常時には給電車両として電力を供給できる設計です。デジタルサイネージや車内監視カメラなど、先進的な安全・情報装備も搭載しています。

名古屋-StationAi間で定期運行を開始した「e-Palette」(JR東海バス)

トヨタはソフトウェア開発部門「Woven by Toyota」と実験都市「Woven City」で、自動運転や交通データの活用を進めています。走行データを基にした高精度地図の更新、交差点での危険予測、需要に応じた配車最適化などを段階的に実装中です。e-Paletteは「車両」「運行管理」「都市データ」を結びつける新しいモビリティ基盤として、遠隔監視やエネルギーマネジメントなどの応用も視野に入れています。

愛知県豊田市が全国自治体に先駆けて「e-Palette」を公用車に導入!

豊田市では、2025年9月24日に「e-Palette」を全国の自治体に先駆けて公用車として導入しました。今後は、車内展示や物販など多様な用途に活用するほか、イベントでの展示や災害時の電力供給などにも用いる方針で、電気自動車の利活用を広く発信し、普及促進につなげるとしています。

愛知・豊田市に導入された「e-Palette」

トヨタの次世代EV、名古屋駅と「STATION Ai」を結ぶ

愛知県では、JR東海バスによる運行で、「名古屋駅」⇔「STATION Ai」の間で、「e-Palette」の定期運行を開始ししました。
「STATION Ai」とは、名古屋・鶴舞エリアに整備されたオープンイノベーション拠点で、スタートアップ、事業会社、投資家、支援機関が集まり、共創による新規事業の創出と実証を加速するハブ機能を担う場所です。このバスは、この「STATION Aiを利用する方(会議室・飲食店・あいち創業館等の利用者を含む)」が乗車できます。

「e-Palette」定期運行 【名古屋駅→STATION Ai】のルート図

今回の定期運行は、愛知県が2018年に策定した「Aichi-Startup戦略」の一環として実施されるものです。
製造業の集積を強みとする地域特性を生かし、スタートアップの創出から育成、実証、展開、誘致までを一体的に進める取り組みの中で、次世代モビリティの社会実装を目指すとしています。電動化や自動運転など最新技術を実地で検証。運行管理や安全対策、利用者の動線、混雑時の対応などを丁寧に検証し、地域に根ざした新しいモビリティの形を探る狙いです。

時刻表

e-Paletteの定期運行は、この拠点と都心を結ぶアクセスの改善に加え、実運用環境でデータを重ねる「動く実験装置」としての役割も期待されているといいます。
区間は名古屋駅(広小路口)~STATION Ai東側駐車場の往復。平日6便定員7名で、利用は事前予約制。期間は25年11月10日(月)~26年3月31日(火)。土・日・祝および年末年始は運休となります。
STATION Aiを利用する方(会議室・飲食店・あいち創業館等の利用者を含む)で乗車希望の方は、事前に予覚サイトから、乗車予約を行ってください

JR名古屋駅とSTATION Aiを結ぶ「e-Palette」の定期運行は、愛知県のスタートアップ戦略を象徴する一歩です。2027年度のレベル4自動運転を見据えるこの次世代モビリティの活躍は、今後の日本の交通と地域イノベーションに大きな影響を与えるでしょう。
(写真:ジェイアール東海バス・豊田市)

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