大阪梅田から神戸を結ぶ阪急神戸線に神戸市営地下鉄との相互乗り入れ計画が持ち上がっていることをご存知でしょうか。近年、神戸市は人口減少が叫ばれていることから神戸の活性化策として神戸市と阪急電鉄が検討を始めたという報道が流れましたが、どのようにしてこの計画が実現するのかといった疑問から、地下鉄路線と接続する場所として有力視されている3つの説を検証したいと思います。

神戸三宮で相互直通する説

まず真っ先に思い浮かぶのは、神戸三宮で接続するという説です。阪急、地下鉄ともに三宮駅はすでに存在するのでここで接続するのが一番自然な流れになると考えられます。阪急側から見れば大阪梅田から現在運用されている神戸高速鉄道の新開地ゆきと、地下鉄に乗り入れる西神中央ゆきという2パターンの運用が考えられるので、どちらにとってもメリットは大きいといえるでしょう。

ただし最大の難点は駅の構造です。現在阪急の神戸三宮は高架駅ですが、地下鉄の三宮は上りと下りで階が別れている上下2層式のホームとなっています。阪急が地下鉄に乗り入れるためには高架から地下路線に変更しなければならず、土地の買収や工事費用などの負担が最大のネックになると思われます。

新神戸まで延伸する説

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日本の鉄道で1駅区間の料金がトップクラスに高額(360円)の谷上~新神戸間を走る北神急行鉄道は阪急電鉄の子会社でしたが、この度神戸市が事業を引き受けて市営地下鉄化され料金も見直されることになりました。この新神戸駅まで阪急神戸線が延伸するという説も囁かれています。この説がもし実現すれば、新幹線が停車する新神戸駅を起点としたアクセスは飛躍的に向上されることが想定されます。

ただし神戸三宮へと向かう2駅前の王子公園駅付近から北へと延伸して新神戸を経由したのち、再度南下して神戸三宮へと続くルートとなる場合、現在の東西を一直線に結ぶ路線から結果的に遠回りになるので神戸の中心までの所要時間が長くなってしまいます。新幹線を利用しない乗客にとっては、逆に不便になるという懸念が拭えません。

長田または板宿で接続する説

阪急神⼾線の特急は神⼾⾼速鉄道の新開地駅まで乗り⼊れていますが、さらにその先の長田または板宿まで乗り入れて接続するという説も存在します。板宿駅については同じく地下駅ですが、交差点の下をクロスした位置関係なので、相応の工事が必要かと思われます。

一方の長田駅(神戸高速鉄道は高速長田駅)はどちらもすでに地下であり、相互接続するための工事は他の説に比べて実現性は高いかもしれません。

しかしこの説に至っては、板宿駅は山陽電鉄、高速長田駅は神戸高速鉄道(※)がそれぞれ運営しており、阪急と神戸市だけの話で実現する話ではなくなってしまいます。もちろんこの説が実現すれば4つ鉄道がそれぞれ接続することになる可能性があるので、各社の運用方法も大きく変化することでしょう。

さいごに

どの説が採用されるのか、それとも新たな説が浮上して採用されるのかは定かではありませんいずれにしても相互運転が実現すれば利便性の向上による利用者数の増加だけでなく、沿線の地価向上といった影響も考えられます。そして新幹線への乗り換えが可能な新神戸へのアクセス向上によるメリットも大きいことから、早期に実現してほしい計画の1つであることは間違いありません。阪急神戸線の未来の路線図がどのようになるのか楽しみです。

(写真/記事 田村 聖)

※2019年9月25日17時55分 板宿駅に関する記述を修正しました。また、高速長田駅につきましては阪神電鉄が営業を行っておりますが、施設を保有しているのが神戸高速鉄道であることから当該部分の記述を変更いたしました。ご指摘、ご連絡誠にありがとうございます。(鉄道チャンネル編集部)