下北沢の小田急線跡地をどう活用していくか? 地域のプレイヤーとともに街を盛り上げる支援型開発

2019.10.05

下北沢駅井の頭線改札口

世界で2番目にクールな街、下北沢

2019年9月、情報誌「タイムアウト」が発表した「世界で最もクールな50の街」にて、下北沢が2位に選出されました。流行に敏感な若者文化の街、メインカルチャーへのカウンターとしてアンダーグラウンドな文化が育つ街として高く評価されているようです。

世界に知られる若者文化の街、小劇場の街、下北沢――でも鉄道ファン的には小田急小田原線と京王井の頭線の「下北沢駅」のイメージが強いですよね。渋谷・新宿どちらへアクセスするにも良い立地ですし、利用者も多い。2018年のデータを見ると京王電鉄では一日の乗降客数が114,175人で同社内5位、小田急電鉄でも 118,869人の11位。

2004年に工事着工した下北沢地区の連続立体交差事業と複々線化事業は2019年3月に完了しました(3月16日中央口使用開始)。改札口も分離し、乗り換えのためには一度改札口を出る必要があります。生まれ変わりつつある下北沢は、10年ほど前の姿しか知らない筆者の目にはずいぶん様変わりしたように映りました。

しかし工事が終わればこれで終了というわけではありません。小田急線が地下に潜ったのであれば、もともと線路が通っていた「跡地」をどう開発していくかという課題が残ります。

2019年9月24日、世田谷区と小田急電鉄、京王電鉄が共同記者会見を開催し、下北沢の街づくりに関する開発概要を発表、今後の展望を語りました。

小田急電鉄取締役社長星野晃司氏(左)、世田谷区長保坂展人氏(中央)、京王電鉄代表取締役社長紅村康氏(右)

小田急の「支援型開発」

小田急線(代々木上原駅~梅ヶ丘駅間)連続立体交差事業及び複々線化事業による「東北沢」~「世田谷代田」の地下化に伴い、全長約1.7kmの線路跡地が開発可能になりました。

画像:小田急電鉄

小田急は開発エリアの名称を「下北線路街」とし、たくさんの木々や花々にあふれ歩いているだけで心地のいい空間を過ごすことができる、と主張。新たな施設群を2020年度までに整備するようです(一部を除く)。

どのような設備が出来るのかというと、「都心に突如現れる温泉旅館」「地域とつながる保育施設&コミュニティの場」「新たな出会いと学びを提供する学生寮」「みんなでつくる自由なあそび場」など。そもそも宿泊施設らしい宿泊施設がほとんどなかった下北沢に温泉旅館が出来るのは新鮮ですね。

“都心に突如現れる温泉旅館” 画像:小田急電鉄
新たな出会いと学びを提供する学生寮 画像:小田急電鉄
開発エリア 画像:小田急電鉄
各施設の概要 画像:小田急電鉄

開発コンセプトは「BE YOU. シモキタらしく。ジブンらしく。」――地域の価値観を重視し、町を支援することを目指す支援型開発(サーバント・デベロップメント)をテーマに、あくまで価値をもたらすのは地域のプレイヤーであり、小田急側はその魅力を引き出す支援をするのだという姿勢を打ち出しています。

画像:小田急電鉄

下北沢街区の魅力や「下北線路街」については、WEBメディア『下北沢、線路と街』にて発信していくとのことです。

【URL】下北沢、線路と街
https://senrogai.com/magazine/

「下北線路街 空き地」もオープン

下北線路街 空き地イメージ 画像:小田急電鉄

記者会見当日には「下北線路街 空き地」もオープンしました。

敷地面積約1,400平米、利用時間は8:30~22:00。本スペースは、約1年半の期間限定で「下北線路街」の開発コンセプトである「BE YOU.」を体現する空間です。カフェスタンドを常設し、期間限定で店舗を開くことができる「空き地キッチン」も開設。トライアルで飲食店を出してみたいなど、様々な「試み」を実現できる場所として下北沢の魅力を発掘していきます。

キッチンカーの様子
みんなのやってみたいことを集めた寄せ書きも

野外ステージとスクリーンを備えたイベントエリアでは演奏やシアター上映なども可。地元のアーティストや下北沢の街を作り上げてきた「本多劇場グループ」と連携した演劇イベントなども開催予定。セレモニーでは小田急電鉄星野晃司社長による挨拶や、ショートライブなども行われました。

ライブにも使用できる屋外ステージ

世界的にも魅力のある若者とアングラの街、下北沢。いかにしてその魅力を削がずに開発を進めていくか、注目したいところです。

記事/写真 一橋正浩


LINEで送る

オススメ記事

こちらの記事もオススメです