日比谷線を行く東京メトロ13000系・東武70000系、御堂筋線を走る大阪市交通局31系・北大阪急行9000形、大阪環状線をまわる323系、近鉄50000系「しまかぜ」、JR東日本E657系「ひたち」、JR西日本287系「くろしお」、新幹線N700系、ドバイメトロ、カイロ地下鉄……。

この電車たち、みんな近畿車輛でくつられた形式。

近畿車輛は、2020年で100年をむかえる鉄道車両メーカー。東大阪市に本社を置き、JR片町線(JR学研都市線)徳庵駅の東側に広大な工場をかまえる国内有数のメーカーで、出場線で新型車両の発表会が行われるさいは、多くの報道陣が新車を囲むシーンがみられる地。

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そんな近畿車輛がつくったプロダクトは、鉄道車両だけじゃなかった。自宅リフォーム中に訪れたサッシ業者との会話のなかで、こんな話が飛び出した。

「あー、これは……近畿車輛がつくったもんだね。いまもうね、部品を取り寄せるのもたいへんなの」

近畿車輛は1956(昭和31)年、建築用スチール製サッシ・ドアの製造を開始。近車でつくられたサッシが、全国の一般家庭などでもまだ使われていると。

同社は2009年に建材事業から撤退したことなどもあり、「限られたパーツを手に入れるのも難しくなってきている」とサッシ業者がもらしていた。

よく見ると、そのサッシ枠には国鉄形電気機関車の製造社名プレートと同じ「近畿車輛」の文字。

徳庵から500kmも離れた自宅の窓に、まさか近畿車輛のプロダクトがあったとは……。

写真 文:鉄道チャンネル